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第40話

……ともだち? 雅実と寺島は、本当に友達だったのだろうか? 実は、仲が良い友達に見えてただけで、二人には、はじめっから友情は存在していなかったのでは? いや、友情と一緒に別の、友情以外の何かが、ずっとあったのでは? 少なくとも寺島の中には。 「佐々木君?大丈夫?」 いつの間にか帰ってきていた保健のセンセー。 もちろん、雅実達もいつの間にかいなくなっていた。 「まだ頭痛がする?吐き気とかはない?」 センセーは、ベットの上で座り込んでいる俺に、心配そうに声をかけてきた。 「…あ、う…ん。だい、じょーぶです」 「次の授業はもう始まってるけど、行けそう?無理そうだったら、もう1時間寝ててもいいのよ?」 いつもと違う俺に、伺うように話すセンセー。 「いえ、大丈夫なので、戻ります」 「そお?」 あんなに酷かった頭痛は消え去っていた。 代わりに、二人が俺の頭に居座る。 ベッドからおり、まだ記入していなかった利用者名簿に記入する。 日にち、学年、クラス、名前…。 俺が書いた上の欄には、雅実の名前。 見慣れた名前。 違うのは他人が書いたということだけ。 この他人は、何を思って雅実の名前を書いたのだろう。 心配だなあ?しょうがないなあ?早くよくなれよ? これを書いたときは、まだ雅実と友達だった寺島。 じゃあ、次に寺島を見るときは。 友達?赤の他人?それとも… ******************

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