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第41話

「……、…と、…雅人!」 「!」 目の前に、もも、チャン? 「雅人、もうHR終わったよ」 辺りを見回すと、期末テストから解放されたクラスメイトが、ワイワイしている。 「まだ、体調悪いんじゃないの?今もだけど、金曜からボーッとしてたし」 心配そうに俺を見るももチャン。 「ん…大丈夫」 ももチャンに話した方がいいのだろうか、金曜日のこと。保健室で起こったこと。 雅実と寺島のことは逐一報告しろと言われたけど…。 俺の中で、何となく言ったらいけないような気がして…。 いまだ言えずにいる。 「雅人」 「ん?」 ももチャンが優しく笑う。 「早く帰ってゆっくり休みなさい」 「……ももチャン」 ももチャンは、俺に何かあったことに気づいてる。 「私は今から部活だから」 でも、何があったかは聞いてこない。 「…体調が良くなったら教えなさいよ!」 そう言って、俺の頭をワシャワシャと撫でて部活へ向かった。 いつもはグイグイくるけど、大事なときは、俺のタイミングを優しく待ってくれるももチャン。 こういうとこ、雅実に似てんだよなぁ、ももチャン。 そう言えば……。 アノとき雅実言ってたな、寺島に。 『……雅人みたい』 「……ハハッ」 やっぱり双子。 好きになる理由も同じか。

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