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第44話
俺は、家に着くと、真っ先に雅実の部屋に向かった。
――――コンコンコン――――
「雅実、入るよ」
中から返事はなかったが、一応声を掛け部屋に入った。
ベットの方を見ると、もそりと布団が動いた。
「雅実、調子はどう?」
ベット横の床に腰をおろして、雅実に話しかける。
「……ん、だいぶいいよ」
壁側を向いていた雅実は、寝返りをうって俺の方向いた。
「熱も下がったし、まだ少し怠いけど、明日には動けると思う」
心配しているのが顔に出ていたのか、優しく答える雅実。
「明日、明後日も休みなんだから、あんま無理すんなよ」
俺は、ももチャンの言葉を拝借する。
「うん」
雅実は、クスッと笑って頷いた。
――――チクタクチクタク……――――
金曜日の保健室のときみたいに、時計の音だけが響く雅実の部屋。
広瀬から託されたプリントを雅実の机の上に置いて、俺は部屋着に着替えるため、一旦自分の部屋に。
着替え終わって、再度雅実の部屋へやってきた。
子どもの頃、雅実が熱を出したときは、いつもそばにいた。
だから雅実も、俺が部屋に戻ってきても、特に何も言わなかった。
――――チクタクチクタク……――――
穏やかにすぎる時間。
それを止めたのは、
「……雅人」
「んー」
「俺……寺島に、キスされた」
雅実だった。
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