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第45話

――――チクタクチクタク……―――― 何と答えればいいのだろう。 全くの知らないふりはできない。 結局、 「……そっか」 しか出なかった。 「……驚かないんだ」 そう言う雅実こそ、俺が驚くとは思ってないんだろう? 雅実を見ると、天井を見ていた。 表情は、分からない。 「ああ。だって、寺島、雅実に対して、好き好きオーラ全開だったし」 「そう、だったのか……。俺、全然気付かなかった……」 「まー、雅実は、こういうの疎いからな」 「……そうだね」 雅実はハハハッと枯れた笑いをして、ゆっくりと俺の方に顔を向けた。 「……俺、どうすればいいんだろう」 酷く不安そうな雅実が目に入る。 「雅実は、寺島のこと好き?」 ゆっくりと、少しだけ開いた雅実の口から、 「……好き、だけど……」 吐息のような声が出る。 「だけど?」 熱のせいか、まだ潤んでいる雅実の瞳。 「……分からない」 そう言って、雅実は、ぽつりぽつりと話しだした。

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