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第46話
「寺島は、小学校以来の、雅人経由じゃない友達なんだ。
最初っから距離感が近くてさ。
ホント、初めはどうすればいいか分かんなかった。
でも、嫌じゃなかった。
無邪気に笑いながら俺にちょっかいかけてきて。
雅人以外にそんな奴いないからさ。
親友が出来たと思った。
そう思うと嬉しくて。
だけど、それを上手く寺島に伝えることが出来なくて。
いつも慌てて。
なのに、寺島は全く気にしてなくて。
それがまた、嬉しくて。
……。
ごめん、俺、話がまとまってない」
ぎこちなく笑う雅実。
「いいんだよ、まとまってなくて」
俺も、上手く笑えているだろうか?
「ありがと、雅人」
雅実は、深く深く深呼吸をした。
「だから……男同士だけど……寺島のキスは、嫌じゃなかった。
友達なのに……親友と思ってたのに。
嫌じゃないって……。
嬉しいと思ってる自分がいて。
けど、キスされて寺島と目が合ったら……。
寺島が、知らない人に見えた。
そう見えたって思うと、怖くなった。
知らない寺島が怖いんじゃない。
俺……気付かなかったじゃ……。
知らなかったじゃ済まされないじゃないかって。
俺、寺島のこと、全然、知らない。
好きなのに……」
ぎゅっと目をつむって……、もがいてるように見える雅実。
「男同士だ……男同士……。
けど…寺島は、俺にキスした。
俺も、嫌じゃない俺も…」
何度も自問自答したんだろう?
自問自答して、苦しくなって、疲れて。
でも答えは出なくて。
「……まさと、おれ」
それで、俺に話したんだろ?
「……雅実」
俺たち双子だろ?
だったら、お前の苦しみ、半分でも俺にくれよ。
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