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第47話

雅実がじっと俺を見る。 「…俺から質問してい?」 ベッドになんかかっていたのを雅実の方に向きを変えて、端に肘をのせる。 「答えたくないのは、答えなくていいから」 雅美が頷くのを確認して、質問を始める。 「寺島がいつもくっついてくるけど、それは嫌じゃないんだよな?」 頷く雅実。 「さっきも聞いたけど、寺島のこと好きなんだよな?」 「……たぶん」 「たぶんか…。じゃあ、雅実は俺とももチャンのこと好き?」 「…うん」 「俺に対する好きと寺島に対する好きは、同じ?」 「違う」 「ももチャンに対する好きと寺島に対する好きは?」 「違う」 「俺に対する好きは兄弟だからだよな?家族愛的な?」 「うん」 「ももチャンに対する好きは?」 「……ゆうじょう」 「友情?恋愛的意味はない?」 「…ももチャンは、可愛いし、話してて楽しいし……。でも、もし、もし仮にだけど、雅人とももチャンが別れても、きっと、ももチャンとは友達だと思う」 「…ももチャンに対する好きと、寺島に対する好きは違うなんだよな?」 「…うん」 「ということは、寺島に対する好きは友情じゃないってこと?」 「……」 初めて雅実が黙る。 「よし、質問を変えよう!」 明るい声で質問を変える。 「雅実は寺島にファンクラブがあるって聞いて、どう思った?」 「……凄いなと思った」 「確かに。"内"と"外"だっけ?2つもあるなんてすげーよな」 「……」 「それだけ?」 「……」 「ファンクラブに囲まれて寺島を見たときは?」 「……い、やだった」 「何で?」 「……な、んと、なく」 「モテる寺島に妬むって感じ?」 「そ、それはない!……けど……」 「けど?」 「ファンクラブの女の子達が羨ましかった」 「ファンクラブの方?」 「彼女たちは、ああいう風に寺島に接することが出来るんだと思うと……羨ましかった」 「でも、その後、雅実も寺島と話したろ?」 「けど!……けど、俺は違う……。俺は、男だ」 「男だから?」 「……」 またも黙る雅実。 「雅実」 きっと、雅実も分かっている。 「雅実の寺島に対する好きは、俺のももチャンに対する好きと同じだろ?」

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