48 / 77
第48話
雅実はゆるゆると横に首をふる。
「どうしてそう思うの?」
雅実に、優しく、優しく問いかける。
「それは……」
雅実が俺から目を逸らす。
「だって……そうだ、ろ?お、とこだ……おれ、も、てら、じ、まも……」
片言で伝える雅実は、今にも泣きそうだ。
「雅実は、男同士の、何を問題に思ってるの?」
「なにをって……」
「男同士だったら、好きになったらいけないの?男同士で愛し合うことは問題なこと?」
俺、たぶん、自分に言い聞かせている。
「じゃあ、雅実の、好きな人を……寺島を思う気持ちはどうなるの?」
雅実を理解したいから。
「……雅人」
大好きな雅実だから。
「俺は、雅実に、自分の気持ちを大事にしてもらいたい」
そんな"些細なこと"で、諦めて欲しくない。
「俺………寺島のとこ、好きでも、いいの?」
「当たり前だろ?」
人を好きになることを。
「そんな俺で、いいの、か、な?」
怖がらないで。
「"そんな雅実"がいいんだよ」
自分らしくあることを。
「それに、どんな雅実でも、雅実は雅実だろ?優しくて頼りになる、俺の自慢の雅実」
俺はもう一人のお前だから。
「それは変わらないよ」
お前はもう一人の俺だから。
ともだちにシェアしよう!