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第48話

雅実はゆるゆると横に首をふる。 「どうしてそう思うの?」 雅実に、優しく、優しく問いかける。 「それは……」 雅実が俺から目を逸らす。 「だって……そうだ、ろ?お、とこだ……おれ、も、てら、じ、まも……」 片言で伝える雅実は、今にも泣きそうだ。 「雅実は、男同士の、何を問題に思ってるの?」 「なにをって……」 「男同士だったら、好きになったらいけないの?男同士で愛し合うことは問題なこと?」 俺、たぶん、自分に言い聞かせている。 「じゃあ、雅実の、好きな人を……寺島を思う気持ちはどうなるの?」 雅実を理解したいから。 「……雅人」 大好きな雅実だから。 「俺は、雅実に、自分の気持ちを大事にしてもらいたい」 そんな"些細なこと"で、諦めて欲しくない。 「俺………寺島のとこ、好きでも、いいの?」 「当たり前だろ?」 人を好きになることを。 「そんな俺で、いいの、か、な?」 怖がらないで。 「"そんな雅実"がいいんだよ」 自分らしくあることを。 「それに、どんな雅実でも、雅実は雅実だろ?優しくて頼りになる、俺の自慢の雅実」 俺はもう一人のお前だから。 「それは変わらないよ」 お前はもう一人の俺だから。

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