55 / 77

第55話

見る見る変わる寺島の表情。 少し切れ長の目がまあるくなり、ナチュラルな眉毛が上がっていく。 口は、声には出さなかったものの、"えっ?"と言った形だ。 「そ、それは……ホン、ト?」 寺島が一歩、 「…本当なのか?」 また一歩と雅実に近づく。 近づく寺島を見ながら、雅実がコクリと頷く。 「本当なんだ……」 「そ、その…て、寺島と、同じぐらい好きかと言われたら、わ、分からないけど…。ただ、その、"友達"の好きとは違うのは、た、確かで」 いまだ信じられないといった顔で、距離を詰める寺島に、雅実は慌てて言葉を付け足す。 「そっか…"友達"の好きとは違うんだ…」 ついに雅実の目の前にきた寺島は、嬉しいそうに、いや、ほっとした表情で、 「う、うん。友達じゃっ!?」 ――……ぎゅっ―― 「……ありがとう、雅実」 確かめるように雅実を抱きしめた。

ともだちにシェアしよう!