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第57話

――ピンポンパンポン―― 《2年6組の、佐々木雅実君。2年6組の、佐々木雅実君。職員室、鈴木のところまで来てください。職員室、鈴木のところまで来てください》 ――ピンポンパンポン―― 抱きしめ合ってる二人を引き裂くように、雅実の呼び出し放送。 いつも影の薄い鈴木センセー。 俺にとっては、ココイチでナイスな存在感を出してくれた。 アリガトゥース!! 「寺島、俺、行かないと…」 あやすのを止め、寺島の肩に手を置く雅実。 「……うん」 と言うものの、一向に腕を解く気配のない寺島。 「…大丈夫。寺島から、逃げたりしないから」 雅実が、クスッと笑って諭すように言うと、 「……うん」 名残惜しそうに腕を解いた寺島。 「寺島、鍵、お願いしてい?」 「…うん、分かった」 あやしている様子を見てたからか、恋人同士というより、完全に、母と子。 ホント、でっけー子どもに好かれたもんだ、雅実は。 同じ子どもだったら、絶対、俺の方が可愛いのに! 「じゃあ、よろしくね?」 雅実が寺島に資料室の鍵を渡す。 「りょーかい」 少しぶすくれた顔で敬礼する寺島。 それを見た雅実は、"プッ"っと笑って資料室を出て行った。

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