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第58話

しばらく、雅実が出て行った扉を見ていた寺島だったが、 「…ハーーーッ!!」 と盛大に息を吐いて、その場にしゃがみこんだ。 「……マジかぁ。……コレ、夢じゃねーよな…」 額に両手を当て、何やらブツブツ言っている寺島。 なかなか資料室から出て行こうとしない。 ……オイ、寺島。 早く、資料室から出て行ってくれ。 資料室のホコリで、今にもくしゃみが出そうなんだ。 た、頼むから……。 ――っくしゅん―― え? と思って目線を横にして、下にさげる。 今のくしゃみ俺じゃないよ? 下げた目線の先には……"しまった"という顔したももチャン。 そして、ももちゃんの顔がゆっくりこっちを向く。 目が合うと、口からちょろっと舌を出して、"テヘッ"と笑った。 ももチャン!! "テヘッ"じゃないよ、"テヘッ"じゃ!! 口の形を"キィッ"として、ももチャンを叱るように見た瞬間。 ――……ガサッ―― ももチャンが、コマ送りのように後ろを振り向く。 それにつられ、俺もゆっくり目線をあげる。 「……まさと、と、こもり、さん?」 ほれ見たことかぁ〜。 寺島に、バレっちったよぉ〜orz

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