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第61話
何だかんだワーワー言ってたけど、そろそろ昼休みも終盤。
「俺行くけど、二人は?」
寺島が、親指で扉を指して聞いてきた。
「あと何冊か取ってほしい本があるから、もう少しいる」
「分かった。じゃあ、鍵お願いしていいかな」
「りょーかい!」
さっきの寺島を真似て、敬礼するももチャン。
それを見た寺島も、笑いなが敬礼をして出ていった。
――ポンッ――
ももチャンが肘で俺を軽く押した。
「……よく、がんばった」
ももチャンの方を見ると、
「雅人も、泣いていいんだからね」
すこし眉毛を下げて笑っていた。
「……ももチャン」
ハハッ。
ももチャンには、全てお見通しか。
俺は、顔をくしゃっとさせて無理に笑った。
「……いいかな、泣いて?」
「もちろん!」
今度は元気いっぱいの笑顔で、両手を広げたももチャン。
俺は、遠慮なくその胸に飛び込んだ。
ホント、俺の周りは優しい人ばっかりだよ。
ももチャンの胸でワンワン泣きすぎた俺は、真っ赤に目を腫らしてしまい、そのまま二人で5限目の授業をサボった。
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