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放課後ランデブー 第3話
俺の表情と、周りの好奇な視線に気づいたももチャン。
掴んでいた俺の胸ぐらを離すと、ゆっくりと座り直した。
そして、
「そうね、まぁ一口飲みなさい」
と、ニッコリ笑った。
……うん、逆に怖いよももチャン((震))
俺はももチャンの言う通り、ストローを咥え、新作フラ〇チーノをゴクリと一口飲む。
「おいし?」
こてんと首をかしげ、先ほどとは打って変わっての、エンジェルスマイルなももチャンに、体がぶるりと震える。
ナンデ?!なんでこんな可愛い笑顔を向けられているのに、悪寒が走るの??
ストローを咥えたまま、小刻みに頷く俺。
「それじゃあ、昨日の雅実君とのやりとりを教えてもらえるかしら?」
ももチャンは、ゆっくりと、ノンファットでお作りした新作フラペ〇ーノに口をつけ、俺に話すよう促す。
ももチャン、俺、そういう精神的Sより、どちからと言うと物理的なSが良いか、な?
「えーっと、今週は雅実が夕飯の当番なんだけど、昨日の夕飯のとき『明日、夕飯当番代わって』って言ってきて、何で?って聞いたら『寺島の家に遊びに行くから』って…」
「雅人」
「ふぁ、ふぁい!!」
ももチャンの鋭いビーム目線に、思わず声が裏返る。
「その時の雅実君は、どんな感じだった」
両肘をテーブルにのせ、組んだ両手で口元を隠すももチャン。
所謂 、"碇ゲ〇ドウ"スタイル。
「どんな感じって…」
「例えば、顔を赤らめながらーとか、モジモジしながらーとか、ちょっと俯き気味で雅人の顔が見れないみたいなーとか」
「ももチャン、それ全部、"恥ずかしそう"ってことだよね」
「そうね。でも、"恥ずかしそう"の一言で済まさないで。その"恥ずかしいそう"には、雅実君の複雑な気持ちが隠されてて…」
ももチャンは、組んでいた両手を右ほほに当て、パタパタと瞬きしている。
うん、引き戻さねば。
「雅実、フツーに言ったよ」
俺はシラーッと言った。
「雅人、ちょっとは私を萌え風呂に浸らせなさい!」
キッと俺を見るももチャン。
「だって、ももチャン1回どっか行っちゃうと、しばらく戻ってこないから、話が進まない!」
「分かったわよ。で、フツーってどういうこと?」
「だから、フツーはフツーだよ!別に、恥ずかしがるとかなかった!」
俺も負けじとプンスカ気味で言ったら、突然黙ったももチャン。
「……ももチャン?」
「ふーん…。雅実君……演技派かしら……」
今度は、腕を組んで何やらブツブツ言っている。
機嫌は損ねてなさそうだ。
「でもさ、寺島君のお家に行くってことはさ……」
考え事が終わったももチャンが、ニタリと笑ってこちら見る。
「"チュッチュ"以上もあるわよね?」
「そ、そうだね」
俺は動揺しつつ、フラ〇チーノをちゅーちゅー吸う。
そんな俺を見て、更にニタリニタリと笑うももチャン。
「雅人はどう思う?」
「な、何が?」
「今日、二人の仲が進展すると思う?」
「そ、それは……」
えーん!!
そんなん聞かんでおくれ、ももチャンよ!!((泣))
そりゃ、二人が付き合いだして、何度も思ったことだよ。
男同士であろうと、最終的にはムフフなコトもするだろうし。
興味がわいてちょいと調べたら、俺、恐怖!!
だって、だって、アレをアソコに入れんだろ?!
しかも、寺島の寺島、デカそうじゃん!!
も、勿論、逆に雅実が入れる方も考えようとしたさ!!
けど、あの寺島が入れられる方になるとは到底思えない!!
だから、弟として、いや弟云々 じゃなくても、フツーに心配なんだよぉ!((汗))
大惨事になるんじゃないかと、もう雅実のおしりは機能しなくなるんじゃないかと、気が気じゃない!
だから俺は雅実の為を思い、とある事を言ったんだ。
「たぶん……、今日の進展はない気がするなぁ……」
「ふーん……」
何だか意味ありげに、こちら見ているももチャン。
「私は、大いなる進展があると思うなぁー」
そう言って、椅子に深く座り、ゆったりとくつろぐももチャン。
紳士淑女の皆さま。
結局、俺の願いも虚しく、ももチャンが正しかったです。
7時すぎに帰ってきた雅実は、なんだかいつもと違う雅実でした。
ただ、せめてもの救いだったのは、雅実のおしりが死守されていたことです。
フツーに歩いて帰って来ました。
なので、雅実のおしりの心配は、もうしばらく続きそうですが、とりあえず、次回のデートでどうなるかは……、今のとこと考えたくないです。
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