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無自覚王子とピーチ姫 その3

{うん。上手く言えるか分からないけど、頑張ってみる! 雅実君の凛々しい顔が浮かんで、ちょっと微笑ましくなる。 そうよね~、ガツガツくる寺島君を、"ステイ!"とか言って我慢させる寺島君もいいわ。 寺島君から"ヨシ!"が出たときは、その反動で寺島君の寺島君がもう大暴れ……。 うん、やっぱり獣人オメガバースが(かた)いな。 あ、あと一つ言っとかないと!  あと、雅実君、少し甘えてみて} {甘える?  うん!きっと寺島君喜ぶと思うから} 滅多に甘えない雅実君が、甘えん坊さんになったら、寺島君の理性は崩壊よね。 あの顔で"俺、チューしたい"とか言って、寺島君に迫る雅実君。 ギリギリの理性で堪えいる寺島君に、"寺島はしたくないの、俺とのチュー?"みたいな感じで、雅実君が少し悲しい顔をしたら、もう辛抱堪らんな寺島君! チューした勢いでそのままエチにもっていき、甘えん坊さんな雅実君から……。 あぁ、甘えたサイコー……。 そんな妄想中、雅実君からのレスに目を疑う。 {甘えるぐらいで? もう、雅実君!!  甘えるぐらいで!}  自分にだけ甘えてくれるって、恋人の特権でしょ?} {そうなの? 恋愛経験ゼロの無自覚王子とはいえ、これじゃ"無自覚"要素を生かしきれない!! "無自覚"の持ち腐れよ!!  そうなの!}  いい、雅実君。何とかしたい気持ちがあるなら、次のことを心掛けて!}  素直に伝えることと、甘えること!!} {分かった。甘えるの難しいけど、心掛けておく 良かった、私の熱意が伝わった。 雅実君は、おとぼけさんが入るタイミングが分からないのが難点ね。 これがエチの途中だったらと思うと……、いや、待て待て……。 何も知らない雅実君に、寺島君が手取り足取りで教え込むのもアリよ! 寺島君が"雅実、ここ触ると気持ち良いんだって"とか言うと、雅実君が"そうなのか?"とか言って、ひとりエチ始めて。 それを見て、ああした方が良いこうした方が良いとか言って、寺島君が雅実君を指導。 ひとりエチでどうしようもなくなった雅実君が、"次はどうしたらいい?"って瞳を潤ませながら寺島君に……。 結局、雅実君は最強!! {本当に、ありがとう、ももチャン! {ももチャンに相談して良かったよ いつの間にきていた雅実君のレスを見て、若干良心が痛む。 雅実君と寺島君で、あらぬ妄想を、日々繰り広げている私に、感謝なんて……。 でもね、でもね!! 相思相愛の二人が上手くいって欲しいって思いはホントだから!!  私のアドバイスが役に立つか分かんないけど} {ううん。こうやって話せるだけでもいいんだ。また、相談のってくれる?  もちろん!!} 「ぐふふ……フハハハハハっ!!」 ついに、当事者本人とのパイプラインが出来たわ。 これで、私の萌えも安泰!! もちろん、私がアドバイスする限り、二人のラブラブも安泰よ!! スマホが"ピコン!"となったので、雅実君のレスを見る。 うんうん、今日はこれで終わりな感じね。 布団を被って寝ている桃キャラのスタンプを送ると、雅実君からもおやすみなさいのスタンプが返ってきた。 スタンプの前に送られてきた、最後の雅実君のレスを確認して、布団に潜る。 {ももチャン、これからも色々教えてね! こちらこそ色々教えてね、雅実君。

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