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ドキッと!?夏祭り 第4話
その女の子は、ももチャンより一回り小さく白地に朝顔の柄の浴衣を着ていた。
「えーっと、そちらの子は…」
雅実が寺島に話しかけると、
「あ、初めまして!アキちゃんの妹の、寺島アリサです!」
隣りの女の子が寺島の代わりに答えた。
「寺島の妹さん?」
「はい!!いつもアキちゃんがお世話になってます」
愛嬌のある笑顔でお辞儀をするアリサちゃん。
うん、寺島に全く似ていない、良い子だ。
「アリサちゃん、初めまして。いつも、お兄さんのお世話をしてる、佐々木雅人です」
「オイ、世話してるのはコッチだろ」
はい、寺島は無ーーー視。
俺がアリサちゃんにキラキラ笑顔を向けると、アリサちゃんは"あわわわ"と顔を真っ赤にして慌てる。
「雅人、俺の妹を唆 すな」
「唆 すなんて人聞きの悪い!ねー、アリサちゃん?」
「アリサに寄るな、触るな」
「え、あ…」
「はいはい、二人とも。アリサちゃんが困ってるから」
呆れ顔で仲裁に入ったももチャン。
俺は、ぶぅーっと口を尖らす。
だってぇー、寺島がぁー。
「初めまして、小森ももです。"ももチャン"って呼んでね」
「は、はい!!」
ももチャンがにっこり挨拶すると、アリサちゃんは嬉しそうに返事をした。
そして、そのまま目線を上げて雅実を見た。
その視線に気付いた雅実も、
「初めまして、アリサちゃん。雅人の兄の、佐々木雅実です。よろしくね」
にっこり挨拶。
俺のときとは違い、静かにポーッと赤くなったアリサちゃん。
で、隣りの寺島の顔が、一瞬だけ変わったのを俺は見逃さなかった。
寺島……お前、妹にも嫉妬か。
「あの、お兄ちゃんって……?」
「ああ。雅実と雅人は双子なんだ」
「えっ!?」
アリサちゃんが、俺と雅実の顔を交互に見る。
これは、俺達のような全く似てない二卵性双生児あるある。
「そそ、俺達二卵性の双子なんだ」
だから俺は、双子であるのを強調する為、ここぞとばかりに雅実にくっ付く。
はい、そこの女の子たちぃ〜!
ここシャッターチャンスだよぉ〜!
御多分に漏れず、ももチャンは正面から"こっち向いてー"と写真をとり始める。
「ああー!それで、浴衣が色違いなんですね!!」
そして、納得した顔のアリサちゃんとは対照的に、寺島の顔には青筋が立っていた。
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