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ドキッと?!夏祭り 第5話
「あの…ももちゃん…」
俺達の写真を撮り終え、写りのチェックをしているももチャンを、アリサちゃんが伺うように見る。
そして、意を決したようにこう言った。
「ももちゃんは、……アキちゃんの彼女さんじゃないですよね?」
「「「「!?」」」」
みんな一斉にアリサちゃんを見る。
そりゃそうだ、何を突然!!
どうした、アリサちゃん!?
「アリサちゃん、ももチャンは俺の彼女だよ!」
俺は、なんとか笑顔を作って、アリサちゃんに話しかける。
「え!?そうなんですか!!あ、ごめんなさい、雅人くん!!」
「ううん、いいよいいよ!気にしないで!でも、何でそう思ったの?」
ペコペコ頭を下げるアリサちゃんを止めて、当然の疑問を聞いてみた。
「その、アキちゃん、出掛ける前まで、ずっと鏡見てて。てっきりデートかと思って…。それで、聞いたら待ち合わせ場所も駅で一緒だったんで、"彼女はどんな人だろ〜"と思って、私ついてきたんです…」
申し訳なさそうに言うアリサちゃん。
チラリと雅実を見ると、少しだけ、ほんの少しだけ、悲しそうに笑って、"そっかそっか"と相槌を打っていた。
もちろん、そんな些細な変化に気付かないアリサちゃんは、
「でも、そうですよね!ももチャンみたいな美人さんの彼氏が、アキちゃんって…ないないないないっ!!イケメンの雅人くんがピッタリ!」
俺のフォローをする。
「オイ、アリサ。お前もかっ!」
寺島は、冗談めいた感じでアリサちゃん軽く睨む。
「だってー!アキチャンは、どっちかって言うと…雰囲気イケメンじゃん!あぁ〜だからかぁ〜。身だしなみ整えないと、本物のイケメンには敵わないもんねぇ〜!」
「お・ま・え・は〜〜!」
「アキちゃん、ごめーん!」
仲の良い兄妹は、どこの家も同じ様で。
俺達もつられて笑った。
「あ、マイマイたちだ!!」
寺島とじゃれ合っていたアリサちゃんだったが、待ち合わせをしていた友達を見つけたようだ。
改札付近を見て、手を振る。
「じゃ、アキちゃん、私行くね!皆さん、兄のお守りよろしくお願いします!」
すっかり元気になったアリサちゃんは、しっかりお辞儀をして、改札の方へ足を向ける。
「アリサ!ちゃんとみんなと一緒に行動しろよ!あと、時間通り帰れよ!」
「はーーーいっ!」
振り返ったアリサちゃんは、最後に大きく手を振って友達の所へ行った。
アリサちゃんが去って、ワンテンポ。
俺達は、周囲の賑やかさとかけ離れた、何とも言えない空気の中にいた。
「三人とも、アリサが色々ごめん」
その空気を破ったのは寺島だった。
俺は、たぶんももチャンも、アリサちゃんの言葉、気にしてない。
逆に、イケメンって言われて嬉しいぐらいだったし。
けど……。
寺島のひと言に、俺は思わず雅実を見る。
「いいよ、寺島。アリアちゃんは知らないんだし」
いつものように笑う雅実。
「…うん」
寺島は、気まずそうだが笑って頷いた。
「それより、寺島!出かけるまで鏡とにらめっことか、どんだけだよ!寺島って、案外ナルシスト?」
雅実はポンっと寺島の背中を叩くと、
「さ、行こう!あー、何食べようかなぁー!」
と何事もなかったかのように、軽い足取りで歩きだした。
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