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ドキッと!?夏祭り 第7話
花火の開始時間が近づく中、さっきまでの喧騒が嘘のように、鈴虫の鳴き声だけが響いている。
薄っすらとした月明かりに、時折生暖かい風が吹く。
俺とももチャンは、人影まばらな公園の茂みで、二人の愛を確かめ合う……。
と言いたいところですが、
「ちょっと雅人、もう少し左にずって」
ももチャンに押されながら茂みに隠れる俺。
えーっと、毎回このパターンなの?
この物語、一応、俺が主人公なんだけど…。
紳士淑女の皆さま。
先ほど、格好良く雅実と寺島を見送ったと思ったでしょ?!
これでこの番外編終わりと思ったでしょ?!
バァーーーット(『but』ね)!!
そうは問屋が卸さねぇ〜!!
いぃ〜や、そうはもも様が許さねぇ〜!!
ってことで、俺はももチャンと一緒に、隠れている茂みから少し離れたベンチを見ている。
もちろん、そのベンチに座っているのは……
「あの距離感!!絶対、雅実君と寺島君、手握ってるよね?!寺島君が上から雅実君の手を包み込んでいるよね?!」
"二人の夏祭り"を堪能しているであろう、雅実と寺島。
そうです、そうなんです!
俺は、ももチャンと一緒に"雅実&寺島の夏休み恋愛絵日記"を見ているのです!!
前話のラストではイケメンだったのに、今は完全ポンコツだね、俺っちorz
俺のプランでは、二人の頭を優しく見つめてフェイドアウト。
そして、ももチャンとゆっくり夏祭りを楽しむ。
そう思っていたのですが……。
『ナイス、雅人!!首尾よく二人から離れられたわ!!』
と、何故かグッジョブポーズをとるももチャンが横におりまして。
"ん??"と思ったのも束の間。
今度は、ももチャンが俺の腕をグッと握って引っ張りだして。
『でも、これ以上離れたら完全に二人を見失うわ!』
と言って、俺の腕を持ったまま、程よい距離で二人を尾行。
しばらくして、二人が俺とももチャンがいないことに気付くと、素早くももチャンが雅実にラ◯ン。
{はぐれたからこのまま別行動にしよう
……そうです。
結局、ももチャンのシナリオ通りに事が運んだのです。
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