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指先から溶けていく
球技大会が終わり、あっという間に期末試験も終わった。ジャスティンはその間ずっと一緒にロードワークに付き合ってくれて、部活では俺のコーチングもしてくれる。この短い期間で、かなりポイントガードっていうポジションのやり甲斐を感じてきた。
そして今日は終業式。ジャスティンの留学生としての生活が終わる日だ。
「短い間、アリガトウ。夏休みはダイスケの家にホームステイしてブカツに出るから、よかったら声かけてください」
簡単な挨拶をすると、そのまま解散となった。
「ねえねえ綿貫くん」と、正木がニヤニヤしながらこっちに来た。もうこいつのこの顔、嫌な予感しかしねえわ…双子んとこ行けよ、俺はお前のネタになんかなんねえぞ。
帰り支度をしながら正木の方を向くと、やっぱり楽しそうに話しかけてきた。
「ねっ、親公認になったの?おめでとう!」
「バカ言ってんなよ…ただのホームステイだって」
「えー?」
つまんなーい、なんて大袈裟にため息を零し、自分の席に戻る。それと入れ違いに、話のネタにされてるやつが来た。
俺の机の上に置いてある鞄を掴むと、ぐいっと腕を引かれて立たされる。文句を言う暇もなくずんずんと歩き出した。
後ろから正木とか他の女子達の叫び声が聞こえるけど、そんなもんお構いなしに教室を出る。
「なっ、ちょ…おい、放せって!」
「ニホンゴワカラナイ」
「てめっ、ふざけんなボケっ!」
突然足を止めてこっちを振り返る。その広い胸にぶつかる寸前に自由な腕でガードすると、その手のひらを取られた。
いきなりの事に反応出来ないでいると、そこに指を絡めてくる。
「なっ!」
「帰ろう、ダイスケ」
「わ、かったから…放せってば」
「イヤ」
「嫌うぞ」
「ダメだ!」
ばっと放されたそこが、熱を失って一気に冷めて行く。
あっぶね…触られた部分が熱くて、溶けるかと思った。
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