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Words I couldn't say
【大介side】
二日目は朝から快晴。昨夜創と母さんが作ってくれていたおにぎりを食べた後、アップを兼ねたゲームをした。途中で創が来て、慌てて継を取り押さえるけど無駄で、そのまま二人で体育館を抜け出してしまう。
全身で創大好きオーラを出す継と、それをまっすぐに受け入れる創。微笑ましいと同時に、なんかちょっと羨ましいというか歯痒いというか…
あいつも俺に好意を寄せてくれていて、俺もそうなんだと思う。悔しいけど、きっとそう。
あいつは、継ほどじゃないけど態度に出してくれていて、それが嬉しいとか思ってしまうくらいには、好き、なんだと思う…よくわかんねえ。
そういや、あいつはウザいくらい好きだとかI love youだとか、暇さえあれば言ってくる。会話に脈絡がなくても。けど、俺はそうじゃない。文化の違いなんだろうとは思うけど、やっぱりそういうのはここぞって時に伝えるもんじゃねえの?
「はあ、言えるかよンな事………」
深いため息を零して顔を上げると、眩しい光の中で長い手足を伸ばしてシュートを決める姿が目に入った。
スパッとこぎみのいい音が聞こえて、くるりとこちらを振り返る。金色の髪がきらきらと光って綺麗だ。碧い瞳に見つめられると、なんか胸の奥がぞわぞわする。言わないけど。
嬉しそうに笑ってこっちに走ってくる様子は、まるでさっきの継みたいだった。
「ダイスケっ、始めようか」
「ん…」
ほら、と手渡されたボールを受け取ろうと手を伸ばすと、指先が触れる。たった一瞬だけど、そこから体中に電気が走ったみたいにびりっとして、心臓発作を起こしたみたいだ。
バカだ俺、なんだこれ、こんな恋する乙女みたいになるとか…
まるで、俺がこいつの事…すげえ好きみたいじゃんか………まあ、きっとそうなんだと思うけど、なんか悔しい。だってこいつは何ともないし。むかつく、俺の方が意識してるみたいじゃん。くそむかつく。
「……死ねバカ」
「What!?」
受け取ったボールを力いっぱいぶつけてやったら、なんだかちょっとスッキリした。
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