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放物線の向こう側
「…ラストワンだ。Get ready、ダイスケ?」
最初の一本を決めてから三時間も経たずに、最後の一投まできた。その間だんだんとギャラリーが増えて騒がしくなる中で、少しもリズムを崩す事なく、ずっと集中できるってすごい。
ここに来て初めて、そのリズムが止まる。
見つめてくる深い碧に吸い込まれてしまいそうなのを耐え、じっと見つめ返した。
すう、と大きく空気を吸い込む。乾いた唇をきゅっと引き結びながら、ゆっくり頷いた。
「…ふん、bring it on!」
ジャスティンの指先からボールが放たれた瞬間、周りの騒めきが消えた。
綺麗な放物線を描いて、音もなくゴールに吸い込まれて行くボール。心のどこかで望んでいた瞬間が、スローモーションのようにゆっくりゆっくり見えた。
「………you are mine」
いつの間にか湧いていた大歓声の中で、あいつが嬉しそうに呟いたのが聞こえた気がした。
ああ、やっぱバカだな。
俺はとっくにお前に囚われてるのに。
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