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合宿終了、そして

最終日。ラストのゲームが終わり、挨拶して解散になった。双子は速攻走り出して、周りは爆笑。 俺はといえば荷物を纏めるふりをして、梅ちゃんや菅原さんと話してるジャスティンをちらりと見る。こっち見ろよ、バカ。 「…っ⁉︎」 手元のメモを指差しながら、あいつがこっち見てふっと笑った。それは一瞬だったけど、俺の顔が熱を持つには十分な時間で。 悔しい。なんであいつに翻弄されてんだよ俺は! ぐあーっ、くそムカつく! ・ ・ ・ ・ あいつを待ってるなんて思いたくなくて、なんとなく体育館を出る。とりあえず自販機に行く途中で、向こうから正木が歩いてきた。 「お疲れー。合宿終わり?」 「おー。あれ、お前は?」 「あたし文化祭実行委員だから、打ち合わせ」 あ、そうか。来月は文化祭があるから、そろそろ動き出すんだな。 あいつはその頃、どうしてんだろ… そんな事をちらりと思い、俯いた俺の頭をぱこーんと叩かれた。 「いってぇ!何すんだよ!」 「なんて顔してんのよ…」 「…どんな顔?」 「あー、その頃あいついないんだよなー、向こうで何してんのかなー、って感じの顔」 絶句。なんだこいつ、エスパーか? 「ふふん、腐女子なめんなよ」なんて胸を張ってる。すげえな、腐女子。 で?と、自販機に100円玉を入れてボタンを押し、プルタブを起こして振り向く。いや、で?って? 「もうヤった?」 「なっ⁉︎おまっ!もちょっと包めよ何かに!!」 「包んだって中身は同じでしょ。で、どうなの?」 なんなんだこの女は?こいつに付き合う双子すげえな。 はあー、と長いため息を零し、昨日の事を話す。なんだかんだで相談に乗ってくれそうだし。まあ、本人は楽しんでるだけなんだろうけどさ。 一通り話すと、わしゃわしゃと頭を撫でられた。 「ま、大丈夫。ロー君あんたにメロメロだから」 ほら、と後ろを指差されて振り返れば、二人分の荷物を抱えたジャスティンがこっちに走ってきていた。 「王子様の登場、なんてね」にやりと笑って手を振る正木の背中を見送る。なんだ、なんか、どうしよう。 「ダイスケ、帰ろう」 もう一度あいつに視線を向ける。嬉しそうに笑って、手を差し出してきた。 なんでこんなサマになってんだよ、俺の心臓壊す気か? 双子なら当然のようにその手を取るんだろうな。でも、さすがに俺は出来そうもない。だから、ポケットから小銭を取り出してスポーツドリンクのボタンを押すと、冷たいボトルを手渡す。 少しだけ触れた指先が、火傷しそうなくらい熱かった。

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