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運命よ、そこをどけ。オレが通る
【ジャスティンside】
「あ、これお前みたい」
「…ああ、rockhopper penguin?」
ダイスケが手に取ったのは、ペンギンのぬいぐるみ。目の両側から黄色い髪の毛がぴょんとはねている。
きっとこれがオレと似ていると言いたいんだろう。
「ははっ、すげえふわふわ!」
その手触りを楽しむかのように、さわさわとペンギンの腹の部分を撫でている。その手のひらがゆっくりとこちらに伸びてきて、気が付けばオレの髪を撫でていた。
えーと、こういう時はどうすればいいんだ?日本ではこういう習慣があるんだろうか?
とりあえずダイスケがしたいようにさせてやって、気が済んだのかにんまりと微笑んだ。ああ、やっぱり可愛いな。
「ほら、かして」
「え、なんで?」
「プレゼントしたい」
そう言ってぬいぐるみを受け取ると、今されたようにダイスケの髪を撫でる。途端に顔を赤くするのが見えたけれど、これ以上触っていたらオレが我慢できなくなるので、すぐに背中を向けてキャッシャーに向かう。
このぬいぐるみをオレだと思ってくれたらいい。そう思いながら、ダイスケに見えてないのを確認してからぬいぐるみの頬にキスをした。
運良く空いているキャッシャーで会計を済ませる。買ったぬいぐるみを袋に入れてもらうと、心の中がなんだか暖かくなるのがわかる。ふわふわした気持ちでキャッシャーを後にすると、ダイスケの元へと歩き出した。
人混みをかき分けて少し歩くと、大好きな黒い髪が見える。…ん?誰かいる?
「いや、友達と来てるから…」
「えー、マジで⁉︎じゃあ一緒に行こうよぉ」
「ねえ、いいじゃん、ウチらと遊ぼうよー!」
「あー、もう帰るし」
ダイスケが女の子に絡まれてる。見た目は可愛いのだろうが、もちろんダイスケには劣る。
数人いたうちの一人がダイスケの手を取って体を擦り寄せたところで、床に貼り付いていた足を急いで引き上げた。人がたくさんいて思うように進めない。
「Darn it…!」
早く行かなきゃいけないんだ、どけ!
逸る気持ちが伝わって足が動く。ものすごく遠い距離を進んでいるみたいだ。
やっとの事で辿り着いた時には、さっきの女がダイスケの腕に纏わり付いていた。ダイスケは優しいからそれを振り解けず、困った顔をしている。
それが、なんだか嫌だった。
「Out of my way」
「…え、うわ⁉︎」
囚われた腕をこちらに引いてやれば、驚いた顔で見上げてくる。けれど、オレだと分かった瞬間に簡単に体を預けてくれた。
そのままダイスケの肩を抱き寄せてざわつく女の子の間を通り抜けると、後ろからキャーキャーと騒がしい声が聞こえてきたけれど無視した。ダイスケの声以外は聞こえない。
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