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A to Z

【ジャスティンside】 ぬるめのシャワーで上から下までくまなく洗い、腕を顔に寄せて匂いを嗅いでみたりして。どうしたって熱が引かない体に、今度は冷たいシャワーを頭からかぶる。 落ち着け自分。こんなに余裕のない所なんか見せたらダメだ。かなりかっこ悪い。呆れられる。 大きく息を吸って、ふぅーっとゆっくり吐き出す。 鏡に映った自分の顔がどうしようもなくニヤけていて、収まりかけていた熱がまた上がってしまった。 ダイスケの部屋に戻ると、ダイスケが驚いた顔でこっちを振り向いた。 「なっ、バカ、ちゃんと髪乾かして来いよ!」 「早くダイスケのところに来たかった」 「…っ、アホだお前…」 座れ、と言いながら肩に掛けていたタオルを奪い取り、ベッドに腰を下ろしたオレの頭をごしごしと拭いてくれる。ちょっと痛い。けれど、それがなんだか嬉しいんだ。 今すぐ真正面にあるこの細い腰に抱きつきたい。でもきっとそんな事したら機嫌を損ねてしまって、この後に挽回できる自信もないから必死に我慢。頑張れ、オレ! 髪から水滴が落ちなくなるくらいまで拭いて満足したらしいダイスケが、すっとタオルを持って離れる。 「俺も汗でベッタベタだし、シャワー浴びてくんな」 「ああ、わかった」 着替えを持って部屋を出るその背中を目で追い、ドアに阻まれたところでため息を零してベッドに横になった。 ゆっくりと目を閉じてみても、目の前にはダイスケが映る。こんなにいつも想う人がいるなんて、一ヶ月前のオレなら考えもしなかっただろう。 緩む口元を抑えると、ベッドに投げたままのスマホが鳴った。

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