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うるさい、黙れ、愛してる
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先程のジャスティンのように、ぽたりと髪から雫を垂らした大介が部屋に戻ってくると、スマホを置いたジャスティンが慌ててベッドから立ち上がる。大介の肩に掛かるタオルを奪い取り、半ば無理やりにさっきまで自分が座っていた場所に座らせ、真正面からその柔らかな髪につく雫をタオルに吸い込ませていく。
首筋を伝う雫はわざと見ないようにして、ひたすら大介の髪に視線を落とした。
「ん、サンキュ。もう平気だろ?」
「ああ…」
正当な理由があって、大介に触れていられたのに。もっと触れていたいと思う気持ちが、直接その黒い髪に触れる。
ゆっくりと顔を上げた大介の瞳が、熱を持ったジャスティンのそれを捕らえた。
まるでスローモーションのように、という表現そのもののような感覚に落ち、背中を屈めたジャスティンの唇と上を向いて少し開いた大介のものとがそっと重なる。啄むようにその柔らかな唇に何度も何度も吸い付き、角度を変えて重ね合わせて。
「…………もう、いい?」
「うるさい、黙れ」
愛してるの言葉は、お互いの唇に吸い込まれていった。
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