62 / 101

日本の夏

【大介side】 「ダイスケ、あれは⁉︎」 「んー?ああ、たこ焼きか?」 「コットンキャンディもある!」 なんか珍しく浮かれてるなこいつ。そう思いながらも無邪気に屋台を見て回るジャスティンが、履きなれない下駄に躓いてしまわないか心配だった。いや、少しだけな。 「やはりアメリカのフェスティバルとは屋台も違うんだな」 「へえ、どんなんがあんの?」 「チキンやピザ、レモネードとか」 「うっは、アメリカンだなおい!」 まあ確かに、アメリカって肉とかピザとかホットドッグとかだよな。 でもこいつってあんま食わなそうな割にはしっかり筋肉着いてるし、やっぱプロテインか?けどそこまでムキムキになったこいつは想像できないし… 胸板の感じとか、ぎゅってしてくる時の腕の感触とか、けっこう好きなんだよな。硬過ぎず柔らか過ぎずって感じで。 や、だからって抱きしめられんのが好きとかそんなんじゃなくて! なんかこう、イヤじゃないだけ、で。 「ダイスケ?顔赤いな、熱でもある?」 「うわっ⁉︎いっ、いきなり近付くなバカ!」 俺の履いている雪駄のつま先部分に下駄が見えて、ふと顔を上げると目の前にジャスティンのどアップがあって。 びっくりした。心臓止まるかと思った。いや、心臓動き過ぎてオーバーヒートしそう。 「大丈夫か?」 「なっ、何もねえよ。ほら、行くぞ!」 団扇があってよかった。けど、ちょっと仰いだくらいじゃ顔の熱は冷めそうにない。 がっしりとした背中を後ろから押して、火照った顔を見られないようにバスケコートへ向かって歩き出した。

ともだちにシェアしよう!