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日本の夏

「……んぅーっ!」 「ダイスケ、痛いから足蹴らないで」 「んっ、ふ…お、まえがっ!」 「はいはい、わかったから」 「てめっ!…っん、はな…っふぁ、」 むかつく。なんでこんな流されるんだよ俺。手首を掴まれて、頬を抑えられて。なんか悔しくて脛をガシガシ蹴ってみたけど、あんま意味なかった。寄りかかったフェンスがガシャンと音を立てるだけ。 力を入れて抑え付けられてるわけじゃないのに、その拘束から抜けられない。なんで抵抗出来ないんだよ俺… 舌が引っ張られるみたいに吸われて、先っぽを甘噛みされたら一気に力が抜けた。 流されるな俺!こんなとこでコトに及ばれてたまるかよ! 自由な方の手でぎゅっと高い鼻を摘まんでやる。少ししたら渋々離れていった。 「ムード無いなあ…」 「あってたまるかクソが」 あーあ、りんご飴食べてたから口の周りベタベタじゃん… 浴衣の袖でごしごしと口周りを拭って、残りのりんご飴をジャスティンに押し付けた。 「やる。ほら、次行くぞ」 「ははっ、可愛いなあダイスケは」 「うるせえ埋めんぞ」 もらった目録は巾着にしまい込んで、再び屋台を巡る。 照明が金色の髪に反射してキラキラ光る。もともとの長身に加えた下駄のせいでそれはこの場所では目立つらしく、さっきからずっと周りから見られてる。 面白くない。…こいつの全部、俺のなのに。勝手に見てんじゃねえよ。 「…なあ、まだどっか見んの?」 「いや、特には。ダイスケが行くなら」 「ん、じゃあ帰る」 浴衣の袖口をきゅっと引いてやればふわりと笑ったその目に、俺以外映すな。なんて言ってしまいそうな自分がイヤだった。 その余裕そうな笑顔がむかつく。俺がこんなにドキドキしてんのに、お前だけ平気だなんて狡い。 さっさと帰って部屋に突っ込んでやるからな。

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