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仕組まれた幸福

【大介side】 部活が終わって帰って来て、荷物だけ置いてランニングに出掛けた。相変わらず隣でチラチラと揺れる金髪と、まったく乱れない呼吸。ムカつく。悔しい。 途中のコンビニで双子らしき後ろ姿を見かけた気がする。このクソ暑いのにあんなべったりくっついてるなんて、この辺にはあいつらくらいだ。創のプリンでも買いに来たのか? そんな二人はスルーして、いつもの道を走る。湿気の少なくなってきた風が、夏の終わりを告げていた。 **** 「ん、早いけど誕生日プレゼント」 「へ?何コレ?」 ランニング終わりにストレッチしてたらいきなり部屋に来た継が突き出した封筒を、つい反射的に受け取る。創がにこにこしながら、俺の隣に膝を抱えて座り込んだ。 「あのね、大ちゃんの誕生日って31日でしょ?いつもおれ達と一緒だけど、今年はジャスティンと過ごしてね!」 「え?あ、おう…?サンキュー?」 何がなんだかわからないけど、とりあえず受け取った封筒を開いて中を確認する。 入っていたチケットの類いを見て動きが止まった。 ……いや、待てこれ日付け明日じゃね?なんで明日ネズミーランド行くの知ってんだよこの双子は! 「ふふっ、昨日ジャスティンから電話あったよ。すっごく嬉しそうだった!」 「…チッ、風呂入ってた時か」 「あー…、sorry、嬉しくてつい話した」 別にいいけどさ。 日帰りのつもりだったのが、双子からのネズミーランド提携ホテル予約チケットによって、まさかの一泊することになった。 ちなみにこのチケット、さっきコンビニで見かけた時に発券したらしい。最近はなんでもネットで出来るんだな〜、なんて思いつつ、二人の心遣いに感謝する。 明日、二人で出掛けたら明後日は……そんな考えが吹き飛ぶように、大きく深呼吸をした。

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