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約束はしない、でも君に誓う

【ジャスティンside】 「次、あればいいな…」 寂しそうにそう言ったあと、はっとしたように口元を抑えて黙り込んだダイスケ。 くるりと向けられた背中がいつもより小さく見えて、人前だと分かってはいたがつい抱きしめた。 「…明日、また来よう」 「ばか、部活…」 「明日、また来よう…」 「っ…、は、なせ…」 ダイスケがバスの中で寝てる時に、ケイから明日は部活がないと連絡が入った。それを耳元に囁くように伝える。 「…明日は、ネズミーシーに行こうか」 「…けど、帰る準備とか」 「ダイスケといる時間の方が大事に決まってる」 今日は8月29日。明後日の日曜の便で帰国する。本当は今日の夜に戻って明日は帰る準備をするつもりだったけれど、荷物なんてほとんど無いからすぐ終わる。 それなら、一秒でも長くこうして触れていたい。 出来るなら一緒に連れて行きたいけれど、それが叶わない事くらい知ってる。いや、ダイスケの体なら、頑張ればスポーツバッグに入れて持ち帰る事も出来るか?そんなバカな事を考えてしまうくらい、一緒にいたいと思う。 「ほら、せっかく来たんだから、思いっきり楽しもう?」 「……ん」 黒い髪にそっと口付けて、手のひらを取る。いつもみたいにそれを振り払われないのが嬉しい。 ぐっと引き寄せて歩き、パークのキャラクター達が出迎えてくれたけれどそれも通り過ぎる。パーク内にあるチケットセンターへ向かい、明日の分のネズミーシーのチケットを二人分買った。 「ダイスケの今日と明日の時間、全部貰っていい?」 「…今更かよ」 泣いた顔も笑った顔も怒った顔も、全てはオレのもの。でも笑った顔の方が好き。 次に二人で来る時は、ずっと笑顔でいさせると心に誓った。

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