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抱き寄せた君はまだ見ぬ未来に震えていた

☆☆☆☆☆ 「う、わ………マジかよオイ……」 夕飯がてら軽く食べた後に夜のパレードと花火を見てから、双子が予約してくれたホテルに向かうと、そこはもう別世界だった。 パークと提携しているというだけあって、館内のいたるところにまでキャラクターのモチーフが散りばめられ、人々を楽しませている。 フロントでルームキーとなるカードを受け取って、エレベーターから降り廊下を歩く。部屋の中を見渡した瞬間の大介の声。 「……なんで、ベッド一つで枕二つ?」 「ダイスケ、荷物かして」 「ほぇっ!?あ、ああ……」 二人が通されたのはダブルの部屋。当然ベッドは一つ。それに唖然としている大介をよそに、てきぱきとパークで買ったものを一まとめにしていくジャスティン。 立ち尽くしているだけの大介に、クローゼットから出したバスローブとタオルを差し出す。 「ほら、シャワー先に使って?」 「え、あ…お前は?」 「一緒に入ってイイの?」 「ばっ、バカかっ!」 一瞬で真っ赤になった大介が、ぶんぶんと受け取ったタオルを振り回すのを器用に避けて、その背中を押す。静かになった部屋で一つため息を零すと、ポケットからスマホを取り出した。 今日一日でたくさん撮った写真。その一枚一枚を眺めていくと、二日後にはこの笑顔を手放さなくてはならない事を忘れそうなくらい胸が暖かくなる。 しばらくそうして撮り貯めた画像を見て、ふと顔を上げる。そこにはいつの間にシャワーから出たのか、ぽたぽたと髪から雫を垂らして立ち竦む大介がいた。 慌てて大介の腕を引きソファに座らせその前に立つと、背凭れに掛けていたタオルでそっと水滴を吸い取ってやる。 じっと熱った頬で見上げてくる。何か言いたげに唇を開くが言葉にならず、視線を逸らした。 「ん?どうしたんだ?」 「…べつに、何もない」 それ以降は口を閉ざしたまま俯いてしまい、ますますジャスティンを困惑させるだけだった。 まだしっとりと湿ってはいるものの、雫の垂れなくなった髪を一房手のひらに掬い、少しだけ屈んでそっと唇を寄せる。びくりと揺れる肩には気付かないフリをして。 「…シャワー、浴びて来る」 「え、あ……うん」 それ飲んで、とテーブルに置いてあるスポーツドリンクを指差し、タオルを持ってドアから出て行くその後ろ姿を、じっと大介が見送っていた。

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