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ふわり、香る
ホテルをチェックアウトして、二日目の今日はネズミーシーに行く。といっても昼前には帰るけど。
俺がパンフレットを見てる間にジャスティンがフロントでチケットを買っていて、二人でパークまで直通のバスに乗った。
ゲートにはもうすでに入場待ちの列が出来てたけど、ホテルで買ったアップグレードされたチケットはなんか知らないけど優先的に入れるやつみたいで、珍しくジャスティンがぐいぐい進む。後ろから背中を押されるのが、なんか心地良かった。
チケットと一緒にアトラクションに並ばないで乗れる優先券を貰ったから、後で何に乗るか決めようかな。とりあえず空いてるやつから乗ろう。
「ショーが午前中にあるみたいだから、それまでに戻ろうか」
「おう、そうだな」
なんかこのチケット、ショーの優先観覧エリアにも入れるみたいで、一体いくら出したんだこいつ…いつの間にかこんなすごいチケット買ってやがった。
まあそこは気にせず、とにかく乗らないと損だよな。
「ダイスケ、あれ乗ろう!」
「…てめえ、ケンカ売ってんのかボケが」
ジャスティンが指差したのは、パーク内でも3本の指に入るくらいの絶叫マシン。こいつ、俺がこういうの苦手だって知ってて言ってんな。
「怖いの?」なんてニヤニヤしながら聞いてくるもんだから、ついカッとなって「ほら行くぞ!」なんて言ってしまった。そして激しく後悔……
「…………そこ、座る」
「オーケー、寄り掛かっていいから」
「いい、いらない」
くそっ、なんだあの優先チケット、なんで並ばないでいきなり先頭なんだよ!心の準備も何もできなかったじゃんかよ!
てゆーか!今も!なに、俺の頭の中ぐわんぐわん回ってるからなのか?なんか体が真っ直ぐにならないし力が入らないからって、なんでこいつに寄り掛かって座ってんの!?いきなり過ぎんだろオイ!
あー、でも、悔しいけど落ち着いてきた。こうやって頭撫でられんのとか、なんか安心するっていうか。
何より俺の好きな匂いがする。
けどやっぱりムカつくから、思いっきり体重掛けてやったのにびくともしないから、余計にムカついた。
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