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please do not go…

☆☆☆☆☆ パーク内のワゴンやファストフードなどを食べながらふらふらと歩き回るうちに、濡れた服もほとんど乾いていた。少し大きなジャスティンのシャツが包み込む大介のTシャツもそれは同じで。 けれどそれを言い出す事なく、ふわりとほのかに香る匂いに安心していた頃、重苦しくジャスティンが口を開いた。 「……そろそろ、帰ろう」 時刻は昼を少し過ぎたところ。これから直行バスに乗り、最寄り駅までは大介の母親が迎えに来てくれる事になっていた。 二人でいられる時間の、カウントダウンが始まる。 隣に並んで、後ろから大介の腰を引き寄せるようにして歩く。肩が触れ合う度に、大介のそこが震える。 数時間前に通ったエントランスゲートは、これからパークに入る人達もまだたくさんいる。その人の波を逆走するように出口側のゲートをゆっくりと抜け、バスターミナルへと向かう。途中にある行き先表示板が、次のバスの時間を示していた。 「……もう来るみたいだな」 自分達の乗るバスの時間がもう迫っていたのを確認すると、ジャスティンが少し早足になる。このバスを乗り逃したら、次は1時間後。高速道路も渋滞し始めるだろう。 意識したとたんに重くなる足。大介の腰に回した手のひらに抵抗を感じたジャスティンが、とん、とそこを優しく叩く。のろのろと動いていた歩みがついに止まり、俯いてしまう。 「チケット、買って来るから」と言い残すと腕を離し一人歩き出したジャスティンの背中を、はっとしたように顔を上げて目線で追う。 ぎゅ、と上から着たままのジャスティンのシャツを握り、絞り出すように言葉を発した。 「っ……く、な……ッ!」 バスターミナルの喧騒の中、それは蚊の泣くような小さな声。けれども、どんなに小さな声であろうと、大事な人の声は聞こえるもので。 ゆっくりとジャスティンが振り返った時に、もうすっかり乾いたはずの大介の頬から、ぽたりと雫が落ちたのが見えた。

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