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両腕のあいだに閉じ込めた

【ジャスティンside】 ベンチで眠ってしまった大介に肩を貸してバスに乗り込む。一番後ろの座席に並んで座り、しっかりと抱きしめた。 この温かい体温を、忘れたくない。 「…I love you…so much…!」 自然と溢れた気持ちを声に出してみたら、我ながら情けないくらいに震えていて笑える。いつからこんな女々しくなったんだオレは…… 左手首に結ばれた赤いミサンガが、今のオレ達を繋ぐ唯一のもの。切れた時には、二人はどうなるんだろうか… もちろんダイスケを手離すつもりはない。出来る事なら連れて帰りたいとずっと考えている。けれど、どうしても不安になるのは仕方がないだろう。 だって、初めてなんだ、こんなに誰かを好きになるなんて。 抱きしめた時の体の収まり加減が絶妙で。さらりと零れるくらい細い髪がきれいで。漆黒の瞳に吸い込まれそうで。眩しいほどの笑顔に目が眩みそうで。 意地っ張りなところも、たまに甘えてくるところも、照れた時にはそれを隠すために真っ赤になって攻撃してくるところも、何にでも一生懸命なところも。 全てが愛しくてたまらない存在だなんて、恋愛ドラマ以外に存在しないと思っていた。 けれど、出会ってから一気に引き寄せられて、気持ちが膨らんで。少し触れてしまったら、その全てが欲しくなった。 「…ん、…」 「大丈夫、ここにいる」 腕の中で身じろぎする身体を呼吸がしやすいように位置を変えてやれば、安心したようにふわりと笑ってくれる。キュッとシャツを握りしめた手が緩んだから、そこにオレの手を絡めてみた。 すぐにゆるゆると力が入って、指が絡み合う。無意識のうちにそんな事をされてしまったら困る。離せないじゃないか。 「本日はご乗車ありがとうございます。このバスは……」 行き先を告げるアナウンスが流れ、ゆっくりとバスが動き出す。 いくつかの信号と交差点を過ぎればすぐにハイウェイに入り、どんどんスピードを上げて行くのが、流れて行く景色を見ていたらわかる。 頼むから、ゆっくり走ってくれ……そう願わずにはいられなかった。

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