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これじゃ俺が構って欲しかったみたいじゃないか
それからすぐに手の中のスマホが着信を知らせる。
相手は…予想どおりで。
まあ、予想どおりのテンションだった。
『ダイスケっ!!!!これっ!このpicture!!!!』
「っあーもう、うっせぇなあ…」
まるでスピーカーから響いてくるみたいにデカくて、少しだけ低いあの声。ガシガシと頭を掻いて後ろを振り返ってみると、ニシシと下品に笑った正木が手を振りながら仕切りの向こうに戻って行くのが見えた。
大きく息を吸ってゆっくり吐き出す。なんかもう、どうにでもなれよクソっ…
「あー、あの、な…」
『今までダイスケが送ってくれるなんてなかった!!!!』
「ちげぇよ、あれは正木が…」
正木が勝手に送ったと言いかけて、はっと口を噤む。
そっか、アレ、俺が送ったからすぐ見たのか…こいつの言った通り、俺から写真とか送ったりなんかした事なかった。逆はしょっちゅうだけどな。
こいつはなんつーか、しょうもない写真ばっか送ってくる。昼飯の写真とか、新しく買ったウェアとか。女子か!って思うようなもんばっかだけど、向こうでの生活がちょっと覗けた気がして、実は少しだけ楽しみにしてた。
あー…もしかしたら、こいつもそうだったりすんのか?なんて思ったり。
「…なかなか似合ってんだろ?」
くそっ、もうヤケだ。
こいつの返事なんか分かりきってるけど、少しでも喜んでくれるなら、こうやって俺の写真でも送ってやんのもまあ悪くないか。
でもそれは、こいつが喜ぶから仕方なく!やってやるんだからな!俺のためなんかじゃ絶対ないんだからな!
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