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第3話

「小太郎! 大丈夫かよ。俺心配したんだぜ?」  あ、こいつ茶目っけたっぷりの幼馴染だったような。名前は平野(ひらの)祐介(ゆうすけ)なはず。 「祐介大丈夫だよ。そんなひどいわけじゃない」 『ッギュ』  いきなり抱きしめられて、流石、BLなだけはあるなぁと思った。でも驚いたからつい、 「っわ、なにすんだお前。」 「俺がどれだけ心配したかわかってるのか! 愛をしれ!」  周りの目ってもんがあるだろうに……ってみんな笑ってるだけ? どんだけだよ! 「祐介お前ってやつは……。触れていいのは俺だけに決まってるんだ。俺の小太郎に手を出すな」  すると今度は青髪のクールっぽい男の子に抱きしめられていた。  周りがっきゃっきゃいっている。恥ずかしい……。 「はーなーれーろー俺は誰のものでもない!」  はぁ……。ありがちなハーレムか。  島原(しまばら)畔(ほとり)。同じく幼馴染でクールな印象のキャラだったような?  離れたと思ったら今度はまた、祐介に『ギュム』っときつく抱きしめられた。 「畔は黙ってろよな。小太郎は今俺の愛でいっぱいなの! 邪魔者は消えろ」 「く、苦しい……」 「おい大丈夫か? 祐介離れろ、俺ならそんな窮屈な愛を抱かせない。もっと甘い恋をお前にプレゼントする」  おいおい。甘いリップサービスだなぁ。でも、俺は先生とがいいから拒否しとくか! 「いや、俺好きな人いるからお断りだ」 「「っは?」」  今もろに怖い声が聞こえたような……? さっきの甘いとろとろな声とは違う声。  二人の視線が怖い。俺何か悪いこといったっけ?  嫉妬は見苦しいぞ? 「ちょっと授業ぬけようか小太郎」 「俺も賛成だ」  何ぃ!? こいつら、もしかして俺を抱くわけじゃないよな……まさかなぁ~でも怖いなぁ。ここは……逃げの一手しかない。 「俺本気の恋してんの。邪魔されるのは本当に困る。二人の気持ちわかるけど、受け止められない」  そう言うと二人は寂しそうな顔で俺に訴える。 「お前の好きなヤツって誰だよ!」 「そうだ、誰なんだ?」 「内緒だ。人の事を詮索しすぎるな。迷惑だぞ?」  あーちょっときついこといっちゃったかなぁ? うなだれてる。可愛いじゃんコイツら。  俺は先生に忠誠捧げてるんだから寄り道はよくないよな。うんうん。撃退しておいて成功。  可愛いけど、ご遠慮いただこう。 「いい? 授業始まるから。俺席着くからな」 「小太郎……俺やだぁ……」 「小太郎……言うようになったなぁ。そんなんで引っ込むと思うなよ」  こえーなこいつら。嫉妬ってモノは怖いものなんだな。しみじみ感じてしまった。モテたことの無い俺からしたら、贅沢な悩みだけど。  男相手だけどな!

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