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第6話
「先生!」
「君、だめだよ? 無理しちゃ。私が心配するに決まってるだろう? 可愛い君の足に傷がついたら可哀想だ」
っは?
なんて言った?
『可愛い?』イライラする。俺だけの先生(モノ)なのに、
嫉妬ってやつを抱いてしまっている俺。
俺を見つけると嬉しそうな顔で近づいてくるけれども、俺は踵を返して帰ろうとした。
「先生ありがとうございました。足、大事にしますね。先輩も怪我しちゃったんだったら早く怪我見てもらったほうがいいですよ?」
後輩からの優しさは伝わるけれども、怒りの方が大きい。
「コタ怒ってる? どうしたの?」
「別に……」
嫉妬で狂いそうだ。あんなに待ちわびていた時間が嘘のように嫌な時間になっている。
ちょっと待っててって言われた時、帰ろうかと思ったけど、『ごめん』と素直に理由をはなしたら謝られたから、待ってると、
「コタ。待たせたね。みて?」
振り返れば黒いマントを羽織ったドラキュラとも言えるコスプレ衣装に身を包んだ先生(こいびと)がいた。
「なっ! なんつーカッコしてるんですか?」
「君に喜んでもらいたくて。笑われてもしかたないけど、今日の日の為に用意したんだ。手作りなんだよ?」
「俺の為?」
俺が少し隙を見せたら、さっと俺をマントで包み見込み首筋に歯を立てる。
「ん……!」
「特別に君のためだけに決まってるでしょう?」
なんつー笑顔を見せるんだ。こんなに美しい人が俺の恋人なんて。
俺は酔いしれていた。
不意に先生が
「トリックオアトリート!」
と言われて慌てていると。
これを着てと言われて着てみるとネコの衣装に着せ替えられた。
「へ? へ?」
全身舐め回される様に見つめられ、俺は、恥ずかしくなってしまう。だって体型がモロに出ちゃうし。なんて言っても、頭のネコのカチューシャ。可愛すぎるやろ。
「俺こんなの似合わないですよ! 着替えま――」
なんと写メを撮っている。は、恥ずかしい……。
「こんなの聞いてません!」
「言った覚え無いもの。ねぇ、にゃんって言ってみて?」
難易度を上げてくる。俺が言ってもかわいくないのにつられて『にゃん』というと。
うー恥ずかしい……。どうしたものかな。
「可愛い猫ちゃんだ。飼いたいなぁ。毎日エッチ三昧だけど。それに……脱がせる楽しみもあるし、これから車に乗ってうちにいこう?」
俺はコクリと頷くとそのままの服で先生の車に乗って家へと……。
獣の様に求めあって全てをさらけ出しても尚足りない。
好き。愛してるが駆け巡る。
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