7 / 9

第7話

先生にいたずらをされて、キスマークがたくさんついて、愛を刻まれたけれど。 「気持ちよかった?」 「は、恥ずかしい……」  裸で先生の家に居る俺は膝枕をされている。  色々されたし、顔が見れない。 「先生エロすぎ。いつもそんなんなの?」 「何がだい? いつも気持ちよくさせてあげてるつもりだけれども……足りない?」  不安げな顔をするな!  もう、俺本気で恋してるじゃん。  夢から覚めないでって思う俺。 「君と会えてよかった。たとえ、偽りの恋人でも」 「へ?」  偽りって、どうして今更。  何か心境の変化か?  俺は慌てて、しがみつく。  離れたくないとばかりに。 「偽りの恋人だよ。どんなに君が取り繕っても、偽りの君を心の底からは愛せない。いつものあの可愛いコタの笑顔がみれなくて淋しい」  バレてる。  でも何も言えない俺。  体を重ねて愛を刻まれたのに。 「朝言ってたね。あの話信じるよ。でも……いつもの君より、今の君のほうが素敵にみえてしまったんだ」 「……。先生の事好き! 俺いつまでも覚えてるから! 先生のこと思い出なんかにできないから! いつまでも覚えてる。覚えてるから……」  先生は泣きそうな笑みを浮かべていた。  俺動け、動けよ! なんで体動かない。もっと甘えたい。刻みたい。思い出を!  やがて……    意識が遠のいていく――。 『忘れないで君のそばに絶対に行くから』  俺は一週間程学校を休んでしまった。  目を覚ましたらやっぱりいつもの俺の部屋で、PCのライトに照らされて何一つ変わらない、 『普通の日常』を受け入れられなかった。 「おい、小太郎、風邪大丈夫なのか?」 「ああ、元気だぜ! バカだからな俺は」  空元気。だって、もうあの日々は戻ってこない。甘い甘い蜜月。  先生と交わしたキス。  どれ一つとっても、今の俺は現実を受け入れられなかった。 「ああ、お前の知らない間に、養護教諭のよしちゃん先生が倒れて新しい先生に変わったんだぞ?」 「へぇ~どんな先生なの?」 「女顔負けの綺麗な先生」  もしかして! 「俺頭痛い、まだ風邪だめっぽいわ……」  嘘臭い演技をしても友達は信じてくれて『ゆっくり休めよ』と言ってくれた。  バタンッ! 「先生!」 「なんで――コタ!」  最愛の人が保健室に居た。  嘘でもない現実の世界に。  俺の誕生日プレゼントは『トリック・オア・トリート』な日々を過ごしたあの、幻影が見せたモテモテな日なのかももしれない。 「コタ、今日は――」 「先生のうちでプリン食べる」 「いいよ。ただでは帰らせないけどね」  お互い笑いながら、キスをした。

ともだちにシェアしよう!