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第7話
先生にいたずらをされて、キスマークがたくさんついて、愛を刻まれたけれど。
「気持ちよかった?」
「は、恥ずかしい……」
裸で先生の家に居る俺は膝枕をされている。
色々されたし、顔が見れない。
「先生エロすぎ。いつもそんなんなの?」
「何がだい? いつも気持ちよくさせてあげてるつもりだけれども……足りない?」
不安げな顔をするな!
もう、俺本気で恋してるじゃん。
夢から覚めないでって思う俺。
「君と会えてよかった。たとえ、偽りの恋人でも」
「へ?」
偽りって、どうして今更。
何か心境の変化か?
俺は慌てて、しがみつく。
離れたくないとばかりに。
「偽りの恋人だよ。どんなに君が取り繕っても、偽りの君を心の底からは愛せない。いつものあの可愛いコタの笑顔がみれなくて淋しい」
バレてる。
でも何も言えない俺。
体を重ねて愛を刻まれたのに。
「朝言ってたね。あの話信じるよ。でも……いつもの君より、今の君のほうが素敵にみえてしまったんだ」
「……。先生の事好き! 俺いつまでも覚えてるから! 先生のこと思い出なんかにできないから! いつまでも覚えてる。覚えてるから……」
先生は泣きそうな笑みを浮かべていた。
俺動け、動けよ! なんで体動かない。もっと甘えたい。刻みたい。思い出を!
やがて……
意識が遠のいていく――。
『忘れないで君のそばに絶対に行くから』
俺は一週間程学校を休んでしまった。
目を覚ましたらやっぱりいつもの俺の部屋で、PCのライトに照らされて何一つ変わらない、
『普通の日常』を受け入れられなかった。
「おい、小太郎、風邪大丈夫なのか?」
「ああ、元気だぜ! バカだからな俺は」
空元気。だって、もうあの日々は戻ってこない。甘い甘い蜜月。
先生と交わしたキス。
どれ一つとっても、今の俺は現実を受け入れられなかった。
「ああ、お前の知らない間に、養護教諭のよしちゃん先生が倒れて新しい先生に変わったんだぞ?」
「へぇ~どんな先生なの?」
「女顔負けの綺麗な先生」
もしかして!
「俺頭痛い、まだ風邪だめっぽいわ……」
嘘臭い演技をしても友達は信じてくれて『ゆっくり休めよ』と言ってくれた。
バタンッ!
「先生!」
「なんで――コタ!」
最愛の人が保健室に居た。
嘘でもない現実の世界に。
俺の誕生日プレゼントは『トリック・オア・トリート』な日々を過ごしたあの、幻影が見せたモテモテな日なのかももしれない。
「コタ、今日は――」
「先生のうちでプリン食べる」
「いいよ。ただでは帰らせないけどね」
お互い笑いながら、キスをした。
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