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第7話 セクハラ上司
まさか二度来るとは思ってもいなかった場所に、裕翔は佇んでいた。
前回は寝起きでバタバタしていたから見回す余裕もなかった部屋の中。
広めの1LDKは意外やすっきり片付いており、見る限り、掃除も行き届いているようだ。
リビングから覗けるベランダには大量の洗濯物がはためいている。どうやら休日の朝に纏めて洗濯するタイプらしい。
「何してんだ? ずっと立ってたら疲れるだろ」
なんとなく手持ち無沙汰で壁際に寄り立っていた裕翔に、部屋の主は座って待っていろとソファーを勧める。
「暇ならテレビ…、DVDでもなんでも、好きなの観てていいからな」
「DVDって、何があるんですか?」
興味を示した裕翔はテレビ台に向かい、黒いガラス扉を開いた松橋の後ろから中を覗き込む。
「アクション系が多いが、まあ………そうだな」
相手からは見えない位置で、唇がニヤリと弧を描いた。
「下の段がエロいやつな。俺のお薦めは…」
「っ──!! そんなの観ませんからっ!!」
「ん?そうか?」
何でもない風を装いながら、内心はしてやったりと笑みが止まらない松崎。
「俺は他人 の使ったAVって駄目でさあ、いちいち新品買ってんだけど、お前は買う派?借りる派?」
「〜〜〜っっっ//// 」
「あ、これな、SMのヤツ。一回こっきりしか観てねぇんだけど、お前 要るならやるぞ。女がMのヤツ買ったつもりだったんだけどさ、男の方がMだったんだよなあ…。気持ち悪ぃのなんの。デブの醜男 が豚っつわれて鞭で打たれてんの。お前そう言うの好き?」
「〜〜〜〜//////ッ! そんなの要りませんっっ!!!」
振り返り、羞恥で真っ赤に染まった綺麗な顔を確認してから、松崎は首を元へ戻す。
「セクハラ上司っ!」
「男にセクハラっつわれてもなぁ」
カラッと笑ってみせるものの、彼から見えない角度でのニヤケ面はセクハラ上司の名に恥じない最低な表情だった。
「気に入ったのあったら貸してやるから、どれでも持ってっていいぞ。お前の使った後だったら、俺 余裕で使えるわ」
「借りないしっ!使うなヘンタイッッ!!」
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