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第33話 深層心理

「挿れ、るの…?」 甘いけれど弱々しい声が聞こえて、松崎はふ、と顔を上げた。 「健吾さんなら、……いいよ…」 綺麗に爪が切り揃えられた指先が、スルリと松崎の頬に触れる。 女の物より骨ばっているけれど、自分の物よりも遥かに細くて繊細で艶っぽい。 誘うような微笑が、閉め損ねたカーテンの隙間から差し込む月光に照らされている。 蒼くやわらかな光と、美麗で扇情的な裕翔の姿が合わさって……… 「エロ天使か……」 神々しさすら感じさせる色香にアテられて回らなくなった頭。足りなくなったボキャブラリーから搾り出された、とてもじゃないけれど色気のない言葉に、裕翔は一瞬目を丸め……、それから可笑しそうに笑う。 「………んだよ」 松崎の眉間に皺が寄る。 「だって…」 ころころと笑い続ける裕翔に、松崎はなんだか恥ずかしくなって……… 「───ひぁっ…!」 胸の尖りをムギュッと摘むと、そのままゴロリと横たわった。 「あっ、あんっ、ダメッ」 「ダメじゃねぇだろ。触ってほしくて、テメェでボタン外して見せつけてきやがったんだろ」 「やんっ、伸びちゃ…、あっ、あぁっ」 乱暴に乳首を引っ張れば、羞恥からか痛みからか、目尻から涙の粒がポロリと零れた。 松崎の胸に置かれた手、腕を突っ張って、イヤイヤと首を振る。 両の乳首を好き勝手に弄くり倒されて、力が抜けた体が前に倒れる。 すると松崎は待っていたかのように裕翔の体を引っ張りあげ、赤く膨れた粒に吸い付いた。 軽く歯を立ててやると撓るカラダが口内から抜け出そうとするから、させまいと背中に回した手で抱き寄せ、更に強くソコを吸う。 「あんッ、やっ……、いた…いの、やぁっ」 「んな痛くしてねぇだろ」 力の入らない裕翔の体をそっと持ち上げ、涙に濡れた顔を覗き込む。位置を下げて抱き締め直すと、か弱い力で抱き返された。 思った通りの感触が腹に当たると、松崎はニヤリと口角を上げる。 「いたいもん……、やだぁ…」 ヒグヒグと喉を鳴らしながら髪に顔を擦り付ける様に、“ソレ”が無ければ嫌だと泣く姿が本当だと信じてしまうかもしれないが……… 「生意気な口利く奴ってのはさ、深層心理では虐めてほしいって思ってるんだってよ」 ピクリと肩が跳ねて、啜り泣く声が止まる。 「そう言う奴らにはちょっとぐらい痛ぇ方が気持ちよく感じんだって、深夜のテレビでやってたっけなぁ。お前は聞いたこと無ぇ? 対俺限定で生意気な口利く、裕翔クン?」 「…………無いです」 髪に触れていた顔がプイと背けられた。 「でもさ、お前───ココ、でっかくなったまんまじゃねぇの」 むぎゅ。 「ひぁあ…っ!」 「ほらな。こっちも痛くしてやろうか?」 「やっ、…やんっ、……やだぁっっ」 それは流石に可哀想で、本当に痛くするつもりなど無かったが。未だ硬く存在感を示す昂りを少し強めに握れば、裕翔は甘い艶声とともに先端から透明の蜜をトプトプと溢れさせた。 「やっぱり虐められてぇんじゃねーか」 蜜を塗りこむように、裕翔のモノを握り込んだ手を滑らせる。 本当に握り潰されるとでも思ったのか、面白いように裕翔の腰が引けた。 「やだやだぁ……、イジワルしないでぇ…っ」 「っ────」 松崎の喉仏がコクリと動いた。

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