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白雪姫。
「おはよう。白雪…」
金髪碧眼の美少年、久世 透也 はベットで今、起きた愛しい黒髪の少年の額にキスをした。
その表情は、昨晩の態度とは一変し、どんな女の子も射とめてしまうほどの、絶世の笑みを浮かべていた。
「透也…」
黒髪の少年は、透也の名前を呼び、ベットに鎖で繋がれた手を透也の後ろに回し、抱きつきキスをする。
この黒髪の少年の名前は、小泉白雪 。
これが彼らの朝の日課。
いや、白雪にとっては透也の機嫌を損ねないようにする為の義務だった。
白雪の手首には手枷がついており、ベットに繋がっている。
白雪は今、この部屋から出ることは出来ないようになっていた。
「透也…あのさ、今日、ずっと透也の近くにいるから…あの、ね…その…」
「学校行きたいって事?」
「そう…き、昨日みたいにならないように1人で行動しないからっ!」
「本当…?白雪、すぐ俺から逃げようとするじゃん」
「しないからっ!お願いします…!」
白雪は必死に透也に懇願した。
昨日のことと言うのは、昨日学校で、先輩に輪姦 されそうになった事だった。
白雪は昔から人を引き付けてしまう体質、いや容姿だった。
艶やかな漆黒の髪に、雪のように白い肌、薔薇色の唇。
童話の白雪姫のような容姿。
この容姿に男女構わず白雪に寄ってくる。
透也も、もちろん人気だが、何処か気性が荒く、白雪を襲うとした低俗な輩は、近寄ってこない。
その上、透也は久世グループという巨大グループ会社の次期跡取りである。絶大な権力を持つ彼を襲うなんて、考えること自体、自分の命を捨てにくような物だと周りから認識されている。
透也と白雪が通う学校は男女共学。
女顔にも近い白雪は男にもモテる。
白雪は、透也のお気に入り___彼氏出会っても、後ろ盾はない為、狙う輩は多いのだ。
昨日、透也が助けてくれなかったらきっと輪姦 されていたに違いがない。
その事がきっかけで、昨日はこの"お仕置き部屋"でお仕置きをされた。
透也はうーんと言いながら、悩んだ様子であったが、白雪に軽くキスをして、
「白雪がそこまで言うなら…分かった
でも、俺から離れるなよ」
そう言いながら透也はテキパキと鎖を外してくれた。
白雪は、透也を説得することに成功したことで少し気が緩んだ。
「ありがとう…」
そして、白雪が微笑んだ。
安心した白雪姫は、鎖で止めてあった手首の様子を確認した。
が、しかしこれは彼の地雷を踏むこととなる。
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