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第5話
食事を終えてかぼちゃを手にて作り始める。これが意外と難しい。
結果、歪なジャック・オー・ランタンが出来上がった。
「俺と似たり寄ったりな」
確かに。だけどあそこまで酷くはない。
「僕の方がマシ」
「ほう、そういうなら、もっと作ってみろ」
とかぼちゃを渡された。
それから夢中で何個か作った。作業に慣れてきたのもあり、そこそこの出来栄えだ。
「良いじゃないか」
「高沢は駄目だな」
いつまでたっても不格好。こればかりは数をこなせばとはいかないようだ。
「いうね」
髪を乱暴に撫でられた。
「やめて」
「あ、すまん」
僕が反応するのが嬉しいのか、だからといって触らないでほしい。
こういうのには慣れていないから。
「一人で作らせるよ」
「勘弁してくれ」
「不器用なのに、何故、一人で?」
高沢が手伝ってとお願いすれば喜んで手をかしそうなのに。なぜ、そうしなかったのだろう。
そうすれば僕が手伝う必要はなかったのに。
「それは……、ほら、皆、忙しいからな」
助かったよと手を合わせる。
何か引っ掛かるけれど、詳しく知る気が無いのでそうなんだと言っておく。
「そういうことで、ランタンは俺と冴木で完成させる。昼休みと放課後はここに集合な。こないと放送で呼び出す」
なんだそれ。本当に強引だな、高沢は。
だけど逃げない、無視しないを約束してしまったからな。
「暇だったら」
素直にうんとは言いたくなかったのでそう返事する。
「よし、明日から頼む」
決定とばかりに言われて、暇だったらなと、もう一度くちにした。
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