8 / 10
第8話
「何か怒らせるようなことをしたか」
「べつに。僕がランタン作りを嫌になっただけ。元々、ハロウィンに興味もないし」
「嘘を言うな。お前、いつも楽しそうにランタンを作っていた」
「嘘をいうな」
「本当だ」
スマートフォンの画像を見せる。いつの間に撮ったのか、そこには楽しそうな自分の姿がある。
「あ……」
こんな顔をしていたなんて。顔が熱くなる。
「ハロウィンパーティ、冴木と一緒に楽しみたかったのに」
袋から取り出したのは狼の耳だ。これを身に着けた高沢を見たら女子が喜びそうだ。それにあの綺麗な人も。
そんな事を考えていたら胸が痛みだした。
「お前にはこれを用意していたんだ」
袋の中から赤い頭巾をとりだした。
「なぁ、パーティをしないか?」
二人だけで。そういわれて、目を見開く。僕とパーティしても楽しくないだろう。
「学校のパーティに一人でいきなよ」
その方がいいに決まっている。
出て行けと彼の身体を押すが、その手を掴まれてしまう。
「ちょ、離し……」
「トリック・オア・トリート」
「え?」
玄関のドアと鍵が閉まる音がする。
ともだちにシェアしよう!