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第8話

「何か怒らせるようなことをしたか」 「べつに。僕がランタン作りを嫌になっただけ。元々、ハロウィンに興味もないし」 「嘘を言うな。お前、いつも楽しそうにランタンを作っていた」 「嘘をいうな」 「本当だ」  スマートフォンの画像を見せる。いつの間に撮ったのか、そこには楽しそうな自分の姿がある。 「あ……」  こんな顔をしていたなんて。顔が熱くなる。 「ハロウィンパーティ、冴木と一緒に楽しみたかったのに」  袋から取り出したのは狼の耳だ。これを身に着けた高沢を見たら女子が喜びそうだ。それにあの綺麗な人も。  そんな事を考えていたら胸が痛みだした。 「お前にはこれを用意していたんだ」  袋の中から赤い頭巾をとりだした。 「なぁ、パーティをしないか?」  二人だけで。そういわれて、目を見開く。僕とパーティしても楽しくないだろう。 「学校のパーティに一人でいきなよ」  その方がいいに決まっている。  出て行けと彼の身体を押すが、その手を掴まれてしまう。 「ちょ、離し……」 「トリック・オア・トリート」 「え?」  玄関のドアと鍵が閉まる音がする。

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