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第2話

「凄いね。昨日の今日で見つけられるなんて」 「……たまたま、廊下に落ちてて……」  嘘下手すぎ。つくなら、せめて目ぐらい合わせないと余計怪しいって気づかないのかな? 「そうなんだね。助かったよー」 「ううん……」  でも、これで堂々と仕返しできる。 「茂木くん。お礼したいから今日一緒に帰らない?」 「お礼、とか。そんな……」  胸元を掴んだ茂木くんの手は震え、もっと罪悪感に苦しめばいい。 「だーめ。こういう事はちゃんとしないとね」  徹底的にいじめ返してやる  。  とはいえ、何しよう。  マンガとかだと、打ったり、何分以内になんか買わせに行かせたりだけど。なんか違う。  大体、茂木くんの方が体大きいから返り討ちにあっても嫌だし。スマホで検索しても罵倒するとか晒しあげるとか、面倒くさそうなのばっかり。 「んー」  なにが効果的なんだろう。今日一日、茂木くんを監視してみたけど。ネタになりそうなものはない。なんか授業終わっても落ち着きなく教科書めくってるし、かと思うとぼぉとしてるし。  こう、一瞬で嫌な気持ちにさせたいんだけどな。 「あ、これ……」  スマホに送られてきた一通のダイレクトメール。元ネタは知らないけど、クラスメイトの溝田くん達とゲームセンターに行った時、あのゆるっとした顔がなんか気に入って取ろうとしたけど上手くいかなかったんだよね。 「復活したんだ……」  お金を使わせるのはいじめのひとつみたいだし。よし、これにしよう。ちょっと楽しみになってきた。 「茂木くん!」 「あ、ああ、天子……」  相変わらず茂木くんの動きはよく分からない。何かを探すようにキョロキョロしたり、一点を見つめたり。 「帰ろっ!」 「あの。お礼とか、そう言うの……」  申し訳なさそうにしてるけど、許るしてなんかあげない。 「僕と一緒に帰るの嫌?」  それに、あのぬいぐるみ欲しい! 「そう、じゃ。ないけど……」 「なら、一緒に帰ろう。行きたい所あるんだー」 「行きたい、ところ……?」  ボソボソと話しながら一向に立つ気配のない茂木くんは、多分のらりくらりと僕から逃げようとしてる。 「ほら、行こう」  でも、そうはいかないんだから。引きずってでも連れてってやる。 「あ、あま、こ……」  腕を引っ張って初めて茂木くんは、オタオタと動きだす。もしかして茂木くん、自分がした事バレてないとか思ってるのかな? 「茂木くんとは、ゆっくり話してみたかったんだよね」  今までしてきた行為の事。 「そう、なんだ……」  ふーん。まだ、シラ切るつもり。 「僕、聞きたい事もいっぱいあるんだよね」 「聞きたい、こと……」  ほら、やましい事があるから俯くんでしょ。僕の顔見られないんでしょ。 「どうして、僕と話す時下向いてるのかな?とか、僕の事苦手なのかな?とか。さ……」  もう、バレてるんだよ。 「どうして茂木くんは、僕の物を盗むのかな?とか……?」 「あ……」  ほらね。表情が変わった。 「前からおかしいと思ってたんだよね。あの、シャーペンも茂木くんが盗んだんだよね?」  認めなよ。 「昨日もハンカチ、盗もうとしてたんでしょ?」  茂木くんが僕に嫌がらせしてるって。 「あの、それは……」  歯切れの悪さが、認めてる証拠なんだよ。 「盗人には制裁を与えなきゃ」

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