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第3話

「天子、ごめん」  やっと自白した。どうして茂木くんが僕の事嫌いなのかはっきりさせなきゃ。 「謝るって事は、認めるんだ?なら、罰を受けて。これから僕の言うことにしたがって。茂木くんに否定権なんてないから」  茂木くんの顔色が明らかにかわる。許せない。徹底的にいじめ返してやる。 「茂木くん、はいは?」 「はい……」  その返事に胸の中がすっとする。 「茂木くん、あれ取って」  事前にチェックしたゲームセンター。目的のぬいぐるみは店内の奥にあった。 「茂木くん、取れるまでやめちゃだめだから」  小さく頷いた茂木くんの腕はいまいちで、何度やらせても結果は同じ。 「違う、右!ああー。もう、行き過ぎだって言ってるでしょ?」 「ごめん……」 「ちゃんとやって!」  無造作に投入した百円玉はこれが最後。時間も遅くなっちゃったし、これで取れなければ今日は諦めるしかないかな。 「あ……、ストップ!」  やばい。よそ見してて指示ミスった。 「え?あ……?」  焦った茂木くんがガチャガチャと余計にボタンを押すから、アームはそのまま下に降りていってしまう。最悪。取れるわけない。なのに。 「うそ……」  頭を押されたぬいぐるみはその重みでするズルズルと滑り落ちていく。 「も、茂木くん……」 「うん、取れた」  凄い。本当に取れちゃった。 「はい、これ……」  受け取ったぬいぐるみは、凄くモチモチしてて肌触りが気持ちいい。 「ん~。茂木くんありがとう」 「いや……取れて良かった」  へぇ。そんな顔するんだ。茂木くんは、ほっぺたを掻きながら居心地が悪そうに笑ってる。なんか楽しくなってきたし、まだまだわがまま言ってやる。 「僕、お腹すいちゃった」 「え?あ……うん……」  まごついた様子で鞄をチラチラ見る茂木くんは、もしかしてお小遣い使い切っちゃったのかな? 「もしかして、お金ない?」 「……いや……」  だから、そうやって目をそらしたら嘘だってバレバレなんたって。 「うーん」  このまま返すのも嫌だし、どうせ帰っても一人だしなぁ。 「いいや。無いなら、貸してあげる」

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