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第24話 不協和音

拓真が持って来てくれたプリンをもう一つ食べてると、玄関が開く音がして悠ちゃんが戻って来た。 リビングに入って僕を見るなり顔をしかめる。 「おまえ、朝もあんまり飯食ってないのに、そんなのばっか食ってると、晩飯も食えなくなるぞ…」 そう言って、プリンが入ってる箱をキッチンに持って行き、冷蔵庫に入れてしまった。 「だって、ここのプリン、大好きなんだもん…。朝に残したご飯は、夜にちゃんと食べる…」 「晩飯は?」 「今日は唐揚げを作る」 「食えるのか?」 「食べれる…。唐揚げ好きだし」 少し口を尖らせて、僕は悠ちゃんの顔を見れずに下を向く。すぐにクスリと笑う気配がして、大きな手がそっと僕の髪の毛に触れた。 「…いいよ。食えなかったら俺が食うから。でも、おまえは少食過ぎて心配になる。もう少し、食えるようになれ…」 「うん…頑張る…」 悠ちゃんの温かい手と優しい言葉に、僕の胸がじわりと温かくなる。少し嬉しくなった僕は、悠ちゃんを見上げて、ねだるように首を傾げた。 「悠ちゃん…、晩ご飯をちゃんと食べたら、涼さんが買ってくれたケーキ、食べてもいい?」 悠ちゃんは、呆れながらも「いいぞ」と言ってくれた。 「しかし、おまえはほんと、甘いものが好きだな。さっき、プリンを二個も食ったのに、まだ食えるのか?」 「プリンもケーキも美味しいもん…。悠ちゃんも食べる?」 「いらねぇ。おまえが食うの見てるだけで、胸焼けする」 「え〜…、美味しいのに」 また僕は口を尖らせて見せるけど、ほんとは悠ちゃんとこんなにも話せたことが嬉しくて仕方なかった。

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