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第40話 掌中乃珠 ※
固くなった自分の性器を握るとピクリと跳ねる。玲の頰に唇を当てて手を動かしてみる。途端に腰の奥がぞくりと震え、何かが溢れてくるような感覚がした。
俺は本能のまま、唇をずらして玲の唇に押し当てた。玲の唇は、とても柔らかくてしっとりと吸い付いてくる。俺は舌をチロリと伸ばして小さく開いた玲の唇に挿し込む。玲の口内の甘い味に頭がクラリと蕩け、玲の熱い舌に触れた瞬間、俺の性器から何かが漏れ出した。
俺は驚いて自分の股間を見る。俺の手と性器に、おしっこではない、微かに白く濁ったような透明の液体がついていた。
ああ、そうか。これが精液…。
友達から男と女のいやらしい話は聞いたことがあったから、これが何かもわかった。
友達の話では、女といやらしいことをしたら、あそこが大きくなって精液が出ると言っていた。その友達に、家にあったという女の裸が載った本を見せてもらったこともある。友達は「やべぇっ」と興奮していたけど、俺は何も感じなかった。
でも、玲には反応した。玲の温もりと匂いだけで反応してしまった。そして、玲に少し触れただけで、初めての精液を出してしまった。
俺は心だけでなく、身体までもが玲を求めている。このまま玲に触れ続けていると、いつか玲を滅茶苦茶にして、壊してしまうかもしれない。
俺は玲の隣で寝て、耐え続ける自信がなかった。だから、翌日からは嫌がる玲にきつく言って、別々に寝るようになった。
別々に寝るようになって、数日は玲のベッドからすすり泣く声が聞こえてきた。俺は胸が痛くなり、玲のベッドへ行きかけるけど、隣で寝ると俺の身体は必ず反応してしまう。それを玲には知られたくない。だから、耳を塞いで「玲、ごめん…。好きだよ」と心の中で何度も囁いた。
そのうち玲も慣れてきたのか、一人ですんなりと寝るようになった。ただ、俺の方がどうにも堪らなくなり、夜中にそっと起き出す。そして、玲の傍へ行き、華奢な身体を抱きしめたり唇にキスをする。その後にトイレに行き、玲のことを考えて自慰をした。
自慰の後は、いつもすごく落ち込んだ。弟に反応したからではない。俺は、弟であろうが、玲を好きなのは事実なのだから、そこを否定しようとは思わなかった。ただ、真っ白で綺麗な玲を、俺が汚してる気がして怖かった。
だけど、せめてこれぐらいは許して欲しいとも思った。本当は、玲を滅茶苦茶に抱きたい。玲の全身にキスをして、玲の中に己の欲望を突き入れたい。でも、大切に思う玲にそんなことは出来ない。
だから、少し触れるくらいは大目に見て…。そう、汚れのない顔で眠る玲に乞うた。
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