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第53話 屋烏乃愛

僕の身体に感じる心地良い重さに気づいて目が覚めた。 ゆっくりと瞼を開けると、すぐ目の前に悠ちゃんの形のいい唇が見える。 「わ…、なに?すごくいい夢…、ふふ」 小さく呟いて再び目を閉じる。 また悠ちゃんと一緒に寝れたらいいなぁ、と願ってた僕の望みが、こんないい夢を見させてくれたんだろうか?それにしては身体に感じる重さがリアルだなぁ…なんて不思議に思っていると、いきなりすぐ傍から声が聞こえて、驚いてパチリと目を開けた。 「おはよう、玲。夢じゃないぞ。気分はどうだ?」 「え?え?悠…ちゃん?」 「ふふ、寝惚けてんのか?昨夜のこと思い出してみろ」 「昨夜…」 言われて僕は、顔を熱くする。 そうだ…。昨夜、悠ちゃんが僕を好きだと言ってくれたんだった。ずっと僕に冷たかったのは、僕に手を出さないようにする為。ずっと僕だけを好きだと言ってくれた…。 僕はこの上ない幸せに胸が詰まってしまい、目に涙を溜めて潤ませた。 そんな僕を微笑みながら見ていた悠ちゃんが、僕の額に唇を押し当てる。 「ほんと、玲は泣き虫だな。今度はどうしたんだ?」 起きた時に身体に重さを感じたのは、悠ちゃんが抱きしめてくれていたから。身体に回された悠ちゃんの腕の重さが心地良かったんだ。 僕は涙をポロリと一つ、零しながら言った。 「悠ちゃん、が、すぐ傍にいるのが嬉しい…っ。悠ちゃんと、同じ気持ちなのが…、嬉しいっ」 「そうだな…俺も嬉しい。それよりおまえ、まだ熱くないか?熱…下がってないな…」 「だ…って、悠ちゃんが僕に触れてるから…体温上がっちゃう…」 「それはマズいな。じゃあ離れるか…」 「やだ…っ、いかっ、行かないで…っ」 顔をくしゃりと曲げて見上げ、悠ちゃんの服をギュッと掴んで懇願する。 悠ちゃんがクスリと笑って、僕の頰に頰を擦り寄せた。 「うそ。昨夜、離さないと言っただろ?絶対に離すもんか。玲が可愛いから、つい意地悪したんだ。ごめん」 僕は顔を離して悠ちゃんを見ると、僕から悠ちゃんの唇にキスをした。 「悠ちゃん…の、バカ…。これからは、僕に意地悪したら、キス…するからね」 悠ちゃんは大きく目を見開いた後に、より一層強く抱きしめてきて、「おまえ…そんなこと言ったら、俺は毎日意地悪するぞ」と、僕の耳元で囁いた。 「いいもん…。いっぱい、キスする…んぅっ…」 いきなり顔を寄せられて、唇に噛みつかれる。僕の唇に強く吸い付くと隙間を割って舌が挿し込まれ、くちゅくちゅと口内を舐め回された。舌が痺れるほど何度も吸われて、悠ちゃんの唇が離れていく。 「んぅ…っ、ふぅ…はぁ…」 ぼんやりと悠ちゃんの顔を見てると、「やっぱり熱い」と、悠ちゃんが渋い顔をした。

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