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第61話 屋烏乃愛

とても恥ずかしかったけど、悠ちゃんに身体を洗ってもらい、お尻の中も綺麗にしてもらった。 悠ちゃんは、手早く自分の身体を洗い終わると、僕の手を引いてお風呂場から出る。洗面所の棚からバスタオルを取って、先に僕の身体を丁寧に拭き、自分の身体も拭いた。 そして、恥ずかしくて嫌がる僕の後ろの孔の周りに、薬を塗ってくれた。洗っている時に石鹸がしみて、僕が痛がったからだ。 じっくりと薬を塗り終わると、また抱っこで僕の部屋に向かう。 僕は、クローゼットから悠ちゃんが出した服を着て、疲れた身体をベッドに横たえさせた。 自分の部屋で着替えを済ませてきた悠ちゃんが、ベッドに腰掛け、手を伸ばして僕の頰に触れる。 「俺、ちょっと買い物に行ってくるよ。玲は大人しく寝てろよ?」 「買い物…?僕も行く…」 「おまえ、腰が怠くて歩けないだろ? 冷蔵庫に食材があまり無いから買って来る。すぐに帰ってくるから。な?心配だから、ゆっくりと休んでろ…」 そう言って、僕の頰にキスを落とす。 「ん…、じゃあ僕眠いから、寝てていい?」 「そうしろ。帰ってきたら起こしてやるよ」 「うん、気をつけてね」 「ああ、何かあったらすぐに連絡しろよ?」 今度は数回唇に触れると、僕の頭をくしゃりと撫でて、部屋を出て行った。 僕は、勉強机の上に置いていたスマホを取って、枕元に置いた。腰が重く怠いけど、その怠さに悠ちゃんの熱を思い出してしまう。僕は一人顔を熱くして、にやける顔を隠すように布団を引き上げ、そっと目を閉じた。 いつの間にか眠ってしまった僕は、スマホの着信音で目を覚ました。 悠ちゃんからっ?と、慌ててタップをして出る。 「もっ、もしもし?」 「ふふっ、何慌ててんだよ。俺、拓真。どう?熱下がった?」 電話をかけてきたのは、今朝、僕がメールで休むことを伝えていた拓真だった。 「うん、もう大丈夫だよ。今日はごめんね?明日は行けると思う…」 「ほんとに?何か、声が掠れてる気がすんだけど…。無理すんなよ?今日、家に一人でいたの?」 「んっ…コホッ…。ううん。悠ちゃんが休んで看病してくれたんだ」 そういえば喉が痛いことに気づいて、軽く咳をする。 それに、悠ちゃんは看病だけじゃなかったんだけど…と、また思い出しそうになって、一人悶えた。 「へぇ…、やっぱ玲には甘いよな、あの人。まあいいや。玲、よく休めよ。明日も無理すんな」 「うんっ、ありがと拓真。じゃあね」 通話を切ってスマホを置き、また目を閉じる。 拓真は何かあると、すぐに心配して声をかけてくれる。悠ちゃんの傍にいたいからと、誰も知った人がいない高校に来て不安だったけど、拓真と友達になれて良かったとつくづく思う。 ーー今日は、人生で一番幸せな日かも…。 まだ悠ちゃんの感触が残るお腹に手を当てて、悠ちゃんのことを考えてるうちに、再び眠ってしまった。

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