61 / 141
第61話 屋烏乃愛
とても恥ずかしかったけど、悠ちゃんに身体を洗ってもらい、お尻の中も綺麗にしてもらった。
悠ちゃんは、手早く自分の身体を洗い終わると、僕の手を引いてお風呂場から出る。洗面所の棚からバスタオルを取って、先に僕の身体を丁寧に拭き、自分の身体も拭いた。
そして、恥ずかしくて嫌がる僕の後ろの孔の周りに、薬を塗ってくれた。洗っている時に石鹸がしみて、僕が痛がったからだ。
じっくりと薬を塗り終わると、また抱っこで僕の部屋に向かう。
僕は、クローゼットから悠ちゃんが出した服を着て、疲れた身体をベッドに横たえさせた。
自分の部屋で着替えを済ませてきた悠ちゃんが、ベッドに腰掛け、手を伸ばして僕の頰に触れる。
「俺、ちょっと買い物に行ってくるよ。玲は大人しく寝てろよ?」
「買い物…?僕も行く…」
「おまえ、腰が怠くて歩けないだろ? 冷蔵庫に食材があまり無いから買って来る。すぐに帰ってくるから。な?心配だから、ゆっくりと休んでろ…」
そう言って、僕の頰にキスを落とす。
「ん…、じゃあ僕眠いから、寝てていい?」
「そうしろ。帰ってきたら起こしてやるよ」
「うん、気をつけてね」
「ああ、何かあったらすぐに連絡しろよ?」
今度は数回唇に触れると、僕の頭をくしゃりと撫でて、部屋を出て行った。
僕は、勉強机の上に置いていたスマホを取って、枕元に置いた。腰が重く怠いけど、その怠さに悠ちゃんの熱を思い出してしまう。僕は一人顔を熱くして、にやける顔を隠すように布団を引き上げ、そっと目を閉じた。
いつの間にか眠ってしまった僕は、スマホの着信音で目を覚ました。
悠ちゃんからっ?と、慌ててタップをして出る。
「もっ、もしもし?」
「ふふっ、何慌ててんだよ。俺、拓真。どう?熱下がった?」
電話をかけてきたのは、今朝、僕がメールで休むことを伝えていた拓真だった。
「うん、もう大丈夫だよ。今日はごめんね?明日は行けると思う…」
「ほんとに?何か、声が掠れてる気がすんだけど…。無理すんなよ?今日、家に一人でいたの?」
「んっ…コホッ…。ううん。悠ちゃんが休んで看病してくれたんだ」
そういえば喉が痛いことに気づいて、軽く咳をする。
それに、悠ちゃんは看病だけじゃなかったんだけど…と、また思い出しそうになって、一人悶えた。
「へぇ…、やっぱ玲には甘いよな、あの人。まあいいや。玲、よく休めよ。明日も無理すんな」
「うんっ、ありがと拓真。じゃあね」
通話を切ってスマホを置き、また目を閉じる。
拓真は何かあると、すぐに心配して声をかけてくれる。悠ちゃんの傍にいたいからと、誰も知った人がいない高校に来て不安だったけど、拓真と友達になれて良かったとつくづく思う。
ーー今日は、人生で一番幸せな日かも…。
まだ悠ちゃんの感触が残るお腹に手を当てて、悠ちゃんのことを考えてるうちに、再び眠ってしまった。
ともだちにシェアしよう!