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第64話 屋烏乃愛

僕の開けた口に肉と野菜が入る。何回か咀嚼してからコクリと飲み込む。唇についた脂をペロリと舐めて、僕は悠ちゃんに微笑んだ。 「んっ、美味しい!悠ちゃん、一人の時に料理覚えたの?」 「覚えるっつうか、こんなの誰でも作れるだろ。それに、おまえが作る料理の方が、格段に美味い。俺は、おまえが作る料理が一番好きなんだ」 「ほんとにっ?嬉しいっ!悠ちゃん、何も言わないけど、食べてくれるから少しは美味しいって思ってくれてるのかなぁ、って気にしてたんだ。よかったぁ…。ごめんね、明日からはちゃんと作るからね」 「そうか…ごめんな。俺、変に意地張ってたから、素直に美味いも言ってなかったな…。玲、いつもありがとう。おまえの料理は最高だ。早く熱を治して、美味いもの作ってくれよ? 」 「うんっ。じゃあ明日は何がいい?」 「う〜ん…、考えとく。ほら、口開けて」 「はい、あ〜ん…」 悠ちゃんの腕に手を置いて口を開けると、また肉と野菜を入れてくれる。 その後も、肉と野菜、時々ご飯を入れてもらって、お皿に入っていた分の、半分は食べた。 悠ちゃんもご飯を食べた後に、悠ちゃんが買って来てくれた、ちょっと値段が高いアイスも食べた。 僕がニコニコとして食べている姿を、悠ちゃんがジッと見てくるから、アイスをひと匙、今度は僕が悠ちゃんの口の前に持っていく。悠ちゃんが小さく開けた口に、スプーンを差し入れた。 「甘い…」と顔をしかめる悠ちゃんに、僕は「そう?美味しいでしょ?」と首を傾げて微笑んだ。すると、いきなり悠ちゃんが、僕のスプーンを持つ方の手首を掴んで、唇に吸いついてきた。僕の唇をペロリと舐めて、舌を入れてくる。口内をひと通り舐め回して、悠ちゃんが離れていく。 僕は、涙目になって悠ちゃんを見た。 「はぁ、はぁ…っ、もうっ、僕食べてるのに…。びっくりした…」 「可愛すぎる玲が悪い。おまえ、触れた手は熱いのに、口の中は冷たかったぞ。それに、おまえの唇は甘いのな」 「だって、アイスを食べてるんだから甘いに決まってるよ」 「いや、おまえは、そんなの食べてなくても、甘くて美味い…」 悠ちゃんの方こそ、すごく甘い目をして僕を見てくるから照れてしまう。僕は恥ずかしいのを誤魔化すために、溶けかけたアイスを急いで口に入れた。

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