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第65話 屋烏乃愛

アイスを食べた後は、すぐに歯を磨いてベッドに連れて行かれた。 昼寝をしたから眠くなかったんだけど、悠ちゃんに「絶対安静だ」と言われて、しぶしぶ頷く。 昨日のようにまた薬を飲んで、額の傷に薬を塗ってもらった。そして、悠ちゃんが僕の隣に入ってきて、僕を抱いて一緒に寝転んだ。 僕は眠くなかったはずなんだけど、悠ちゃんの温もりと匂いと穏やかな心音を聞いてるうちに、いつの間にか眠ってしまった。 翌朝目覚めると、頭はスッキリとして熱もないみたいだった。ただ、起き上がる時に、腰と身体の節々が痛んで辛い。 今日は、朝ご飯から僕が作ろうと思ってたけど断念して、悠ちゃんにピタリとくっついて、再び目を閉じた。 この日は、朝から熱が下がって元気だったけど、夕方までは何もさせてもらえなかった。 夕方になって、再度熱が上がらなかったので、やっと悠ちゃんのお許しをもらって、僕が晩ご飯を作った。 晩ご飯の後の、お風呂と歯磨きも済ませると、二人並んでテレビを見る。十一時頃になって、どちらからともなく手を繋いで、悠ちゃんの部屋に行った。 ベッドに入り、悠ちゃんが僕を抱き寄せて額にキスをする。熱も下がったし、今日もするのかなぁ…と、悠ちゃんを見つめてると、悠ちゃんが困った顔をした。 「玲…、あんまり俺を煽るなよ?襲っちまうぞ…」 「いいよ。悠ちゃん…しないの?」 「ば…っ…。だから煽んなって…。んなの、毎日したいに決まってる。でも、おまえの身体に負担をかけちまうだろ。だから、俺はたまにでいいと思ってる…」 「えっ、そうなの…?」 僕は戸惑ってしまい、眉尻を下げて俯いた。 「どうした?なんでそんな顔してる?」 「悠ちゃん…は、いやらしい子は…嫌い?僕、いやらしいのかも…。いつも悠ちゃんとキスしたいと思ってるし、え、えっちもっ、したいと…思ってる…。それにね、今までも、悠ちゃんとキスする夢をよく見てたんだ…。だから僕ってきっと、えっちなんだ……」 「夢…」 ポツリと呟いた悠ちゃんの声が考え込む風だったから、不思議に思い顔を上げて悠ちゃんを見た。 僕の視線を受けて、こちらをチラリと見た悠ちゃんが、目を泳がせたような気がした。

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