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第68話 屋烏乃愛
昨夜は、あのまま泣き疲れて眠ってしまったみたいで、悠ちゃんの腕の中で目覚めた僕は、瞼を重く感じて、何度も目を瞬かせた。
ーーいっぱい泣いたから目が腫れてるのかな…。でも、寝る直前のヤツは、嬉し涙だし…。
とりあえず、目を冷やしに行こうと悠ちゃんの腕をそっと持ち上げて抜け出そうとした。
上半身を起こした途端、腕が伸びてきて再び抱きしめられる。
「おはよ…玲。どこに行くんだ?」
「ゆ、ちゃん…。おはよ。ちょっとトイレに…」
「ん?ああ…、瞼が腫れちまったな。俺が冷やしてやるよ。ふぁ〜…、じゃあそろそろ起きるか…」
そう言って悠ちゃんが、僕を抱きしめたまま起き上がる。そして、僕をジッと見つめて、瞼、鼻、口へとキスをした。
「玲…、今日は一緒に学校に行くか」
「ほんとっ?嬉しい…っ!僕、ずっと悠ちゃんと一緒に行きたかったんだ。実を言うとね、同じ電車に乗りたくて、いつも駅まで走ってた…」
「おまえ…やっぱり走って来てたのか。今日はちゃんと一緒に出るから、もう無理すんな…」
「うん。ふふ…悠ちゃん、ちょっと心配し過ぎだよ?僕、そんなに弱くないよ?」
「…おまえはもっと、自分に気をつけるべきだ。はぁ…ホント目が離せねぇな。これからは、俺がずっと傍で見ててやる。玲、おまえもこれからは何かあったらすぐに俺に言え。俺を頼れ」
「悠ちゃん…、僕、甘えてもいいの?」
「俺が、甘えて欲しいんだよ」
「…どうしよう。悠ちゃんが好き過ぎて胸がきゅーって苦しくなっちゃう」
「はぁ…、おまえは無意識に煽り過ぎ…。朝から我慢出来なくなるじゃねぇか…」
「え?なにが?」
コテンと首を傾げた僕の頭を引き寄せて、悠ちゃんが深いキスをした。何度も舌を絡め、僕の息が苦しくなってきた頃にようやく唇を離して、僕の髪に顔を埋める。そして、大きく深呼吸すると、「よし、起きるか」と言って、僕を抱いたままベッドから降りて洗面所に向かった。
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