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第74話 寤寐思服 ※

土日は悠ちゃんとゆったり過ごせて、とても幸せだった。 それに土曜の夜には、悠ちゃんがたっぷりと愛してくれた。身体中にしつこくキスを落とされて、翌日の夜にお風呂場で鏡を見た僕は、驚いて声を上げてしまったくらいに、赤い痕が無数についていた。 挿入の時にはまだ痛みがあったけど、だんだんと痛みよりも、おかしくなるんじゃないかと思うぐらいに気持ちよくなってきて、僕は、夢中で悠ちゃんにしがみついて高い声を上げ続けていた。 何度出したかもわからないくらいにへとへとに疲れてしまい、悠ちゃんに揺さぶられてるうちに意識を失ってしまった。 僕が次に気がついた時には、日曜の昼間になっていた。 ベッドに腰掛けて、心配そうに僕を覗き込む悠ちゃんに話しかけられたけど、答えようにも声が掠れて出なく、のども痛い。身体のあちこちも筋肉痛で動かせない。 そんな僕に悠ちゃんは謝って、甲斐甲斐しくお世話をしてくれた。でも、お世話をする悠ちゃんの顔は、なんだかとても楽しそうで、最初は「全部してもらって悪いなぁ…」と申し訳なく思っていたけど、「悠ちゃんが楽しいならいいか」と甘えさせてもらった。 月曜に拓真と会った時、まだ痛みが残る僕のぎこちない動きを見て、拓真は眉間にシワを寄せた。 「玲、どっか調子悪いのか?」 「えっ?い、いや…だいじょぶっ。ち、ちょっと寝違えちゃったから…」 「そうか?しんどかったら言えよ?」 「う、うん。ありがとう…」 心配してくれる拓真に嘘をついてるようで辛い。でも、身体の痛みの本当の理由なんて言えない。拓真は僕と悠ちゃんを本当の兄弟だと思ってるし、ましてや男同士だなんて、想像も出来ないだろうし…。 黙ってしまった僕の頭に、拓真がそっと手を乗せる。 「どうした?やっぱ辛いんじゃないか?無理しないで保健室行く?」 「ふふ、心配し過ぎ。そんなに気にかけてくれなくても大丈夫だよ」 「心配するっつーの。…特におまえは……」 「ん?なぁに?」 最後の方がよく聞き取れなくて、僕は首を傾げて拓真を見た。拓真が僕の頭に乗せていた手で、僕の頰をむにゅうと軽く摘んで言う。 「や…いひゃい…」 「ふっ、なんでもない。なぁ玲、今週の木曜か金曜、俺ん家に遊びに来ないか?母さんも早く連れて来いってうるせーし」 「木曜か金曜?うん…じゃあ木曜に行くよ。僕もおばさんに会いたい」 拓真の手を掴んで頰から離させて、ニコリと笑って答えた。 「よしっ!じゃあ木曜約束な?悠希さんに邪魔しないように、よーく言っといてくれよな」 「うん?悠ちゃんがなんで邪魔するの?」 僕の問いに苦笑いをしながら、拓真が一瞬、僕の手を強く握りしめてから離した。 ここ最近、拓真は時々おかしなことを言う。それに拓真の口から悠ちゃんの名前が頻繁に出てくる。 ーーえ?もしかして拓真、悠ちゃんのこと意識してるの?だとしたら、悠ちゃんは僕のだから、あんまり近づいてほしくないな…。 僕を見て、「のど乾いたしジュース買ってくる。玲もなんか飲む?」と聞いてくる拓真に、僕は複雑な気持ちで首を横に振った。

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